チャレンジ精神であんこの可能性を追求
もっちり、しっとりとした皮に包まれ、北海道十勝産小豆を使った粒あんの甘みが口いっぱいに広がる伝統のどら焼き「さがどら」。その生みの親で創業75年の老舗創作和菓子店、㈲菓心まるいちが、和菓子の概念を打ち破る「飲めるあんこ」を開発し、話題になっている。エネルギー補給飲料「餡MMu(あんむー)」がそれだ。だが、気を衒ったものではない。あんこの可能性を追求し、既存の発想にとらわれない形で誕生したスグレモノなのだ。
餡MMuは「さがどら」と同じく北海道十勝産小豆を使用。完全無添加で、高糖質・低脂質で食物繊維や鉄分、カリウムなどを多く含む。パウチ容器入りで携帯しやすく、スポーツや登山時の栄養補給にもってこいだ。ちなみに「M Mu」とはモバイル(携帯)、ムーティブ(原動力)、ユーティリティー( 実用性)の頭文字。小豆とザラメ糖が主原料で、こしあん、つぶあん、はちみつレモンの3種がある。
開発のキッカケは2年前のこと。市丸翔大副社長(32歳)によれば「当店店舗近くの練習場でトレーニングしていたアスリートの『海外遠征時にあんこを持っていきたい』というお声かけから取り組みがスタートした」という。以来滑らかな口当たりを出すため試作を重ねたそうだ。その結果、昨秋には県など主催の「1万人が選ぶ佐賀のおすすめお土産S-1アワード」TOP30に選定された。今後は「内発的なものというよりは、企業さんからお困りや『こんなことはできないか』の声に寄り添いながらシリーズ展開をしていきたい」と、発想の幅を広げている。
看板商品「さがどら」、あんこの可能性を追求
一方で、これまでの看板の和菓子である「さがどら」づくりにもこだわる。重曹以外の添加物を一切使用していないことが特徴。おかげで、創業からの手づくりの紅白大福餅をはじめ、佐賀ぜりぃ、丸房露など定番商品の人気も変わらず高い。経営面ではギフトの需要減やコンビニのスイーツ拡大など逆風もあるが、「菓心まるいちの伝統的な菓子づくりに守られている」と市丸 剛 社長(37歳)。
「技を生かせる一部の機械化と、こだわりを生かした手作業で選択と集中をはかっている」とし、「一部の商品で6次産業化も考えているが、最後まであんこの可能性を追求しチャレンジしたい。将来は店舗内にカフェなどをつくり、みんなが集まりやすい場にしたい」と夢も。原点に徹底してこだわり、変化を厭わない、老舗和菓子店の矜持を感じる。
㈲菓心まるいち
佐賀県佐賀市鍋島町鍋島1224-7 TEL:0952-33-3901
設立:1950年 従業員:17名 資本金:500万円
HP:https://www.kashinmaruichi.co.jp/
西村美成子さん
さが産業ミライ創造ベース
Senior Community Designer
㈲菓心まるいちは、あんこの可能性を追求する和菓子店。どら焼きや季節限定のくず饅頭など、素材の味わいと季節感を大切にした和菓子が幅広い世代に親しまれています。同社は和菓子の枠組みを外す試みとして、「和菓子×演奏会」や「あんこ×カクテル」など体験型企画をつぎつぎと展開。食べるのではなく飲めるあんこ「餡MMu」はすばやくエネルギー補給できる補食としてスポーツ分野にも広がっており、今後の動きにも注目です。
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