東南アジアで魚醤「キンキの露」人気上昇中

飯寿司は新年を迎えて家族と歓談しながら食べる、北海道民にとって「ハレの日」の伝統的な郷土料理。その飯寿司を昔からの製法を守りつつ、地場産の魚を使って現代風にアレンジして製造販売しているのが水産加工業の㈱中井英策商店だ。

紅鮭やハタハタ、メバル、幻の高級魚といわれるマツカワなどを使った飯寿司を作っているが、なかでも一番人気は高級魚キンキを使った「キンキのいずし」だ。飯寿司は、三枚おろしにした魚の切り身を道産米や野菜とともに樽の中で重ね、糀を使って2~3週間漬け込んで発酵熟成する。わさび醤油に浸けて食べることもあるが、クセがなく、アッサリした風味が特徴だ。とくに「キンキのいずし」は絶品。「キンキは脂が強く、その味を引き出せるかどうかが美味しさの秘訣で、脂の処理が難しい」と話すのは及川昌弘社長(68歳)。

45年前に国内初の商品化に成功。2年後、伊達市の「一村一品」に認定され、東北の一部や北陸にも出荷しているが消費地の9割が道内だ。「お酒が進みすぎる、とのクレームもあった」と目を細めるが、累計総販売数は160万樽(500g樽換算)を超えた。売り上げの8割を占めるほどだ。

商品は飯寿司だけではない。地場産のホタテ貝柱の菓子「スキャロップ( ホタテ) パイ」、奥洞爺牛を使った「大人のビーフパイ」や飯寿司の新商品「ビーフ・ズーシー」も。ネット通販で好評の「白ワインにあう北の生マリネ」といった若い世代向けの商品もある。さらに「キンキの中骨やエンガワなど残渣を活用して10年前に発売した魚醤『キンキの露』がいまになって人気が出てきている。米国や中国、台湾、マレーシア、ベトナムへの輸出が好調で地元料理などに幅広く使われている」と及川社長。

 

樽の中での重ね漬けなど丹念な手作りで生まれる飯寿司
発売から時を経て、東南アジアでいま人気上昇中の魚醤「キンキの露」

食文化をつなぎ、農産物へも目を向ける

まさに順風満帆。が、実は懸念材料も。購買層の高齢化によって飯寿司の需要に先細り感が出ているという。しかも気候変動による水産資源の確保が問題に。ということで「いずし食文化をつなぐ会」を及川社長みずから結成し、講演活動に奔走。そして水産資源については、これからは「海ではなく山。つまり富良野などの農産物を使った商品開発」だと発奮する。求める素材を海から山へ、という発想の転換。稀代の商品づくりが北のまちで進んでいる。

発酵熟成した「キンキのいずし」はお酒にも合うあっさりした風味が特徴
「飯寿司という食文化を次世代につなぎたい」と話す及川社長

笠師芳和さん
伊達商工会議所
中小企業相談所 参事

㈱中井英策商店の「キンキのいずし」は高級魚キンキを国内で初めて飯寿司として商品化したもので、発売から48 年目を迎えました。新年を迎える時期には、北海道内の新聞やTV でも広く販売場所 などが紹介されます。道産のゆめぴりか、地元産のニンジン、ショウガ、麹を合わせて 3 週間ほど熟成させて作っており、贈答用としても人気です。伊達市を代表する老舗食品製造企業です。これからも応援しています。