モットーは使用者目線と抑えた価格
岩手県花巻市のプロフェクト㈱は中小製造業の総合生産管理システムを開発・販売する企業だ。システム構築にあたっては中小企業が購入しやすい価格と、利用者目線を大切にしてシステムを組み上げているという。中小企業の省力・自動化のシステムを開発したのもそのひとつ。将来の人手不足を見込んでの開発で、事業の大きな柱になっている。
全国の中小製造業8社の経営者が集まり、2005年に設立した。社長の阿部志郎氏(60歳)は工場やオフィスの自動化を支える省力化装置メーカー、㈱石神製作所(岩手県花巻市)の経営者。「昨日発信した発注書と今日発信した発注書が社内を駆け巡り、どちらを優先すべきかあちこちで打ち合わせがはじまる。モノは動いていないのに、これでは本末転倒だと思った」と、以前から紙による生産管理の効率の悪さに危機感を持っていたそうだ。
試しに、取引があった板金加工機大手が開発した生産管理システムを導入したことがあった。システムはひとつの機能が付くごとに値段が上がり、仮に全社員に端末を配備すると億単位の設備投資になる。4000万円の予算では、機能を絞った端末を3台しか導入できなかった。後継者育成講座で知り合ったメンバーに相談すると、「市販のシステムは高い割に中小企業には使いづらい」とみんな同じ悩みを抱えていた。
そこで半導体関連や食品設備、自動機など業態が異なる中小製造業8社が共同出資して、05年にプロフェクト㈱を設立。開発にあたっては静岡大学情報学部の田中宏和教授が理事長を務める(一社)システムコラボ・マネジメントに協力を求めた。途中、リーマン・ショックでプロフェクトのメンバー企業の多くが危機的状況に追い込まれたが、15年に念願の総合生産管理システム「TED」が完成した。
価格は大手の1/8、日本DX大賞優秀賞を受賞
8社のひとつ、㈱広島メタルワークはTEDを導入し、現場の従業員全員への端末配備を実現。作業上のミスも減り、導入から4年後には社員1人あたりの売上高が8.6%増加した一方で、労働時間は15.9%減少。製品の不良率は97%も減少した。ほかのメンバー会社も順次TEDを導入し、フリーズ(動作の停止)や予期せぬ数字の表示などのバグ(不具合)を洗い出した。
19年には改良した外販用のバージョン2が完成し、さらに生産管理の見える化を実現できた。価格は大手が販売するシステムの8分の1に抑え、フル機能の端末を100台まで使えるようになった。
今年には、企業の集計データを生産性の改善に役立てる機能を備えたバージョン3を発売。おかげで TEDシステムはこれまでに、TOHOKU DX大賞優秀賞、日本DX大賞優秀賞を受賞した。現在27社とシステム契約。お試し使用を含めると35社が導入している。阿部社長は「中小企業の今後の課題は人材確保。それを法務、財務などの面からも支援できるようなシステムをつくっていきたい」と話す。
プロフェクト㈱
(本店)岩手県花巻市中根子字堂前38
(本社)東京都港区浜松町1-12-6第一浜松町ビル6階
TEL:03-6435-6302 設立:2005年 従業員:18名 資本金:1000万円
HP:https://www.profect.jp/
吉田真二さん
(公財)いわて産業振興センター 専門幹
阿部社長は高校時代からハンドボールで名を馳せ、3年生のときにはインターハイにも出場。少年男子県代表キャプテンも務めた人です。そのしなやかなリーダーシップで全国の事業者と中小製造業の現場に即した「生産管理システムTED」を構築。中小製造業の未来を広げるため、社内外の現場に足を運ぶ一方、大学生の息子さんにも経営に携わる機会をつくるなど若い力を巻き込む姿が往時のキャプテンに重なります。
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