とろみちゃんは年間出荷数100万本超

北海道産の農産物である馬鈴薯(ジャガイモ)に付加価値を付け、ロングセラー商品となった「顆粒片栗粉とろみちゃん」。水で溶く必要のない片栗粉で、スープなどに振りかけて混ぜるだけということでリピーターが絶えない人気商品に。しかも、無添加とあって離乳食や介護食にも重宝されている。

製造元である㈱丸三美田実郎商店の太田壽一社長(41歳)は「消費者の口コミやSNSで徐々に広がり、主婦向けの雑誌でも紹介された。2015年に年間出荷数が100万本を突破し、今も同じペースで安定している」と話す。

「とろみちゃん」が生まれたのは道北の上川地方。33年前のことだった。一帯は一大ジャガイモ作付け地で、同社も士別市で54年から馬鈴薯でん粉を製造してきた。だが「80年代末から輸入自由化を求める動きが急速に強まり、200カ所以上あったでん粉工場は10分の1以下に。そこで先行き不安から発案したのがダマにならない片栗粉だった」と太田社長。

道立工業試験場(当時)との共同研究で、脱水したでん粉を振動させて顆粒にする「振動造粒法」を発明。その製法を使って「とろみちゃん」を発売したところこれが大当たり。96年には特許を取得した。その後、生活協同組合(コープ)や大手スーパーのPB商品にもなり、外食産業への出荷やネット通販に進出。いまや道外での販売が99%を占めるそうだ。

 

「生産者が丹精込めて育てた農産物に付加価値を付けて 全国に届けたい」と話す太田社長
幅広い料理に使えるロングセラー商品「顆粒片栗粉とろみちゃん」

道産農産物に付加価値をつけ発信する

ただし、同社はこういった食品を製造するのが中心ではない。コメやアスパラガス、カボチャ、タマネギといった道産農産物を集荷・選別し、検査・出荷するのが主業だ。そして、「『とろみちゃん』のように地元農産物に『付加価値』をつけて全国に届け、農産物のポテンシャルの高さと魅力を発信していく」のが会社のミッションだと太田社長。「ゆめぴりか」や「ななつぼし」など道産米を例にあげ、「圧倒的知名度を誇る魚沼産コシヒカリのように、士別産〇〇といったブランド形成ができれば」と前を見る。

この7月、士別市の老舗企業で馬鈴薯でん粉を製造販売する「㈱カワハラデンプン」を子会社化し、生産体制を強化。さらに、現行の農産品に加え「花や豆類にも力を入れて発信力を強め、全国のみならず、世界へ届けたい」と太田社長は意気込みを見せている。

北海道の農産物の魅力を伝え続けて100 年が過ぎた
展示会では離乳食や介護食への便利さも積極的にアピール

北村浩史さん
道北日報㈱ 代表

「とろみちゃん」の開発にまつわる苦労話は、いつ聞いても道産子に勇気を与えてくれます。開発チームは原料の選定と配合比率の研究に多くの時間を費やし、理想的なバランスを見つけるまで試行錯誤を繰り返したといいます。この商品が今や調理の省力化に貢献し、食卓に豊かな彩りを与えてくれています。北海道の畑からジャガイモのあらたな魅力を掘り起こしてくれた同社に心から敬意を表します。