2025年は政治も経済も大きく動いた年だった。米国大統領に返り咲いたトランプ氏は移民政策や関税引き上げなど「トランプ外交」を展開。日本には4月に自動車などに25㌫の追加関税を通知したが、その後の日米交渉で日本側が5500億㌦(約80兆円)の対米投資をする引き換えに自動車関税と相互関税を15㌫に引き下げることで合意した。日銀が12月15日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)のうち、自動車は1㌽悪化のプラス9だった。専門家は「自動車については関税率が下がったとはいえ、元の6倍の高さ。関税の影響が本格化して米経済が落ち込めば悪影響はさらに広がる」と警戒する。4月から5月にかけて米中両国は互いに100㌫を超える関税をかけ合う事態にもなったが、10月の両国首脳会談で関税引き下げに合意、歩み寄った。カギとなったのは、米国が中国に輸入の7割を頼るレアアース(希土類)の輸出制限だった。米国にとって軍事機器や電気自動車、スマートフォンなどハイテク産業に欠かせない素材だけに、これが中国側の強い交渉カードになった。
国内では7月の参院選で、与党の自民・公明は過半数を獲得することができず、惨敗。「少数与党」に転落した昨年秋の衆院選につづく敗北で、「石破おろし」で揺れる自民党は3カ月に及ぶ政治空白を生じさせた。10月4日に高市早苗氏が自民党総裁に選出されたが、「政治とカネ」をめぐる意見の食い違いから公明党が政権を離脱。そして10月21日、日本維新の会の閣外協力を得る形で憲政史上初の女性首相が誕生した。70㌫を超える高い内閣支持率のなか、高市首相のつぎの発言が日中関係を急速に悪化させることになる。「戦艦を使って、武力の行使をともなうものであれば、これはどう考えても(日本の)存立危機事態になりうるケースだ」。この発言に中国は猛反発。自国民に日本への渡航を自粛するよう呼びかけた。訪日客の減少や日本人アーティストの公演中止などの影響がこのままつづくと、年間の経済的損失は1・7兆円にのぼるとの試算もある。前述の12月の日銀短観では、日中関係の悪化によるインバウンド減少の懸念から、3か月後を予測する先行きのDI(業況判断指数)は「宿泊・飲食サービス」で大企業が今期より6㌽悪化、中小企業は10㌽悪化となった。
「責任ある積極財政」を掲げる高市政権。12月17日に会期末を迎える今国会で、18・3兆円の補正予算案が成立する運びとなった。財源の一部は11・6兆円の国債発行でまかなうことから債券市場には財政悪化への懸念が広がり、長期金利の上昇傾向がつづく。財政への信認が失われれば円安に振れ、物価はさらに上がる。政権が経済対策に力を入れても、物価高がそれを飲み込ん
でしまう恐れがある。
このように国内外に多くの課題やリスクを抱えるいまの日本。月刊『コロンブス』は今年も地域経済を育てる〝産業栽培メディア〟として、さまざまな分野から日本の経済を支える人や団体、企業を応援していきたい。というわけで1月号では、「2026新春知事メッセージ」と、「知事アンケート」の分析を掲載。