神奈川県相模原市を主な取材エリアとする『相模経済新聞』は、全国の地域紙のなかでも珍しい、「地域経済」をテーマした地域新聞だ。

創刊は1971年の『旬刊さがみ』で『東京タイムス』(首都圏紙、92年休刊)の記者だった河野不二雄氏が「相模原に地域新聞の文化を根付かせたい」と31歳で独立「さがみ新聞社」を創業したのがはじまりだ。翌年には『さがみ新聞』に改題し、町田市の『町田ジャーナル』と業務提携を結ぶなど紙面の充実をはかり、徐々に認知度と発行部数を増やした。だが、「市民新聞」が相模原の地に浸透するのは生易しいことではなく、購読者数は伸び悩んだ。そこで、河野氏はこれまでの編集方針を地域経済に。「企業および働く人たちに役に立つ情報誌を目指しながら、経済、政治のみならず、コミュニティに関わる幅広い報道を目指し、一般市民から経済人へと読者ターゲットを絞った」という。

地域経済紙に編集方針を切り替えたことについて、河野氏は1面コラム「ですくめも」(2013年5月)でこう綴った。相模原は40年以上前、東京や横浜などに通う市民が圧倒的に多く、市民意識が薄かった。ゆえに「創刊当時に胸に秘めた『民主主義の原点は地域』にあるという『思い』は単なる『思い上がり』でしかなかった」「この地で這いつくばるのは中小企業だと知った」と。これが最後の執筆となった。80年7月、「地域経済紙」へと舵を切った『相模経済新聞』は、26年で創刊55年の節目を迎える。

この思いを引き継いだのが、13年に事業承継した2代目の本橋幸弦氏(47歳)だ。氏は『変わらないために変わる』というあらたな発行理念の元、地域ジャーナリズムの精神で「地域経済紙のあらたなビジネスモデルをつくりたい」「半径10kmの足元を3次元で深掘りしていく」と意欲を燃やす。

YouTubeチャンネル『相模経済新聞 公式チャンネル』では、紙面の解説のほか、氏のインタビュー動画などを配信。昨年10月には、公明党の連立政権離脱直後に、公明党神奈川県本部幹事長・佐々木正行氏に独占インタビュー。「連立離脱による今後の地方議会に与える影響」や「公明党の未来」について切り込み、再生回数は2.9万回(25年12月14日時点)に達している。