少量でも栄養バランス満点
高齢化の進展を背景に、嚙む力や飲み込む力「嚥下機能」が低下した人でも食べやすいよう食材の形やとろみを調整した「嚥下食」のニーズが高まっている。㈱HANAIマーチャンダイジングはその嚥下食の冷凍食品の製造・販売を主軸とする食品メーカーだ。
このビジネスをはじめた動機は「妻が出産を機に体調を崩したときのこと」だったと代表取締役の花井哲也氏(56歳)は話す。そのとき、宅配弁当サービスを利用してみたが、その弁当を見て咄嗟に「自分なら栄養バランスに配慮したもっとおいしい食事を提供できる」と考えたそうだ。もともと氏はレストランやホテル、結婚式場で料理長を経験してきた味のプロ。そう思うのは当然のこと、2012年には故郷の三重県桑名市で起業し、弁当宅配サービスをはじめた。
ところが、当初から市内の病院の依頼で糖尿病や腎臓病など食事制限に合わせた弁当をつくることになり、そのコストと複数の病院への配達費で赤字に。1年足らずで事業継続も危うい事態に陥ってしまったという。そこで、2年目からは主力商品を弁当から調味料(ソース)や加工食品に切り替え、それから間もなく14年に「おいしい嚥下食がない」と聞き、その商品開発に乗り出した。
こだわったのは、少量でもバランス良く必要な栄養を摂取できるよう工夫を凝らしたことだ。たとえば、同社ではいずれの嚥下食品も「水に溶けやすく吸収性に優れたコラーゲンペプチド、腸内環境を整え糖や脂肪の吸収を穏やかにする難消化性デキストリンなど、さまざまな成分を効率良く混ぜ込んでいる」という。
また、一次調理(火を通し味付け)した食材を真空パックにして再度、低温調理する『真空調理法』で味を染み込ませているので「減塩とは思えないほどシッカリした味わいに仕上がっている」と花井氏。こうして生み出される「おいしい嚥下食」が評判を呼び、給食事業者や飲食店、ホテル、食品製造会社、高齢者施設などからの発注が年々増加。現在では病院だけでも1日400人の朝・昼・晩3食を手掛けている。
嚥下食の海外販路開拓が目標
さらに、福岡県北九州市の嚥下食・介護食・高齢者食メーカー㈱七日屋(福岡県北九州市)が和の鉄人・道場六三郎氏と洋の鉄人・坂井宏行氏の監修の下で開発した「100歳ごはん」シリーズにも「商品開発室長」として加わるなど、近年では活躍の場を広げている。今後、さらに嚥下食のニーズが高まるのを見越してECサイトでの個人向け販売やSNSでの情報発信にも取り組んでいくという。「海外では日本以上に嚥下食が浸透していないので、いつか販路開拓に挑戦したい」と花井氏は意気込んでいる。
㈱HANAIマーチャンダイジング
三重県桑名市大福490 TEL:0594-87-6617
設立:2012年 従業員:25名 資本金:500万円
HP:https://www.flas-marche.com/
立道和久さん
三重県よろず支援拠点くわなサテライト
コーディネーター
HANAI マーチャンダイジングは、プロの料理人が頼りにする食品製造会社です。和食・洋食・中華料理すべてのジャンルでおいしい料理を提供できます。おいしいだけではなく、目で楽しむことができ、味わい深く香り高い栄養豊富な食事をつくり上げます。これまでは BtoB の市場が主戦場でしたが、開発した料理の鉄人の「100歳ごはん」を中心に BtoC の市場にも挑戦し、ますます発展が期待できます。
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