OEM中心の利益構造から脱するため、自社ブランド設立

ここ10年、四国・高知でヒット商品を連発している製菓会社といえば㈱スウィーツ。春田聖史社長によれば、「2006年の創業からしばらくは、社名が表に出ないホテルのOEM商品や百貨店のカタログギフトなどの商品づくりが多かった。その当時取引先に依存した収益構造から脱するため、12年に自社ブランドを立ち上げた」という。

その第一弾が、完全放牧で飼育されたジャージー牛のミルクをたっぷり使った「雪ヶ峰牧場ジャージー乳のアイスブリュレ」だ。濃厚なカスタードクリームの表面をこんがり焦がしてパリパリのカラメル状に仕上げた逸品で、これが爆発的に売れた。各都道府県から選ばれた47品の「ご当地おやつ」のなかから日本一を決める「第3回ニッポン全国ご当地おやつランキング」で見事グランプリに輝いた。

「このヒットを機に、量販店向けの冷凍スイーツの開発に力を入れ、営業にも全力投球した」という。ところが「現実は棚の獲得競争が激しく、なかなか売り上げが伸びなかった。そこで地元の土産物屋に常温で陳列されるような手軽な商品の開発にかじを切った」と春田社長。

そうして13年に完成したのが、地元の天日塩職人とコラボした「田野屋塩二郎シューラスク」だ。これが大ヒットに。ラスク専用のシュー生地に希少な天日塩で炊き上げた塩キャラメルを合わせ、仕上げにアーモンドスライスをトッピング。サクサクした食感とジュワッと口に広がる濃厚な塩キャラメルの味わいがクセになると空前の売り上げとなった。この商品は「にっぽんの宝物コラボグランプリJAPAN大会」と「全国おみやげグランプリ」の2大会でグランプリ日本一を連続受賞。たちまち人気に火が付き、高知を代表する一大土産物へと成長した。

ジャージー乳のアイスブリュレ
田野屋塩二郎シューラスク

地域に寄り添ったお菓子を開発

その後も高知県東部の室戸地域でひっそりと生産されていたサツマイモに着目して「西山金時スウィートポテトロール」を開発。多数のメディアで取り上げられ、アッという間に人気商品に。「西山金時がブランド芋の仲間入りしたことで、地元の生産者も喜んでいる」という。

「昨今はSNSの影響などで一夜にして爆発的にヒットする商品も少なくないが、すぐに飽きられて消えてしまう商品も多い。一時の流行に左右されず、高知に根差し、地域の方々から応援されるような息の長い商品をつくりつづけていきたい」と意気込む春田社長。目下、カカオの実からカカオペーストを自社製造した「世界を変えるカカオ」シリーズを市場導入。驚くほど豊かな、カカオ本来の香りを楽しむことができる逸品で、こちらも人気上昇中だ。

世界を変えるカカオ The Cacao Roll
春田聖史社長

峠 篤士
(公財)高知県産業振興センター よろず支援拠点
チーフコーディネーター

㈱スウィーツは「素材を生かすこと」に真摯に向き合い、高知の塩や芋、乳、カカオなどの恵みを丁ねいにお菓子に仕立てています。春田社長は職人としての誇りに加え、モノづくりを楽しむ柔らかな感性を大切にし、菓子づくりを「語りたくなる体験」へと広げています。素材への愛情と遊び心が詰まった、心に残る会社です。高知県を代表する企業として、今後ますます飛躍されることを期待しています。