コストは二の次、美味しさにこだわる

有余年にわたって、この地で製麺業を営んできた㈱川本食品が製造・販売する乾麺のブランド名は「花の大和路」。歴史と文化に彩られた古都・奈良を想起させるこの言葉にふさわしく、厳選した地元の原材料を使った蕎麦、うどんを製造している。手間暇を惜しまず、素材の持つ美味しさを最大限生かす麺づくりを徹底して追求している。

主な商品は「茶そば」、奈良県産山芋を凍結乾燥した粉を練り込む「山芋そば」、地元名産の吉野葛を練り込んだ「葛うどん」の3種。紀州南高梅を練り込んだ「梅そば」もあるが、これは1~2月の季節限定だ。商品数は少ないが、これがこだわりの象徴でもある。

「『茶そば』の販売が圧倒的に多く、看板商品になっている」と話すのは川本光男社長(78歳)。地元・大和茶の抹茶を麺に練り込んだものと、奈良に程近い京都南部の宇治茶の抹茶を練り込んだものの2種。お茶もグレードの高さによっていくつもの種類がある。抹茶の含有量は麺一食(80g)あたり3g。蕎麦粉は実の中心部にある白い部分のみ使う。「抹茶の練り込む量は一般的な茶そばの2倍。コストはかかるが抹茶らしさが出る。それがこだわりのひとつだ」と川本社長は力を込める。

もうひとつのこだわりは「製法」だ。「一般的には30~40℃の温風で数時間乾燥させるが、それだと風味が飛ぶ」そうで、山芋そばも同様だが、同社では製麺後に低温庫内で2昼夜かけ、ゆっくりと熟成・乾燥させ風味を麺に閉じ込めるのだ。「いいモノ、美味しいモノ、高品質なモノをつくりたい。コストは二の次だ」ときっぱり。色合いや味わいにこだわり、中元や歳暮、祝い事など贈答用が中心というのもうなずける。パッケージデザインにもこだわり、奈良県のグッドデザイン賞を受賞したこともあるほどだ。

手土産用の商品3種
麺は低温庫内で2昼夜かけてゆっくりと熟成・乾燥させる

大河ドラマとマッチングし歴史に縁あるロゴ使用

ところで、この1月にはじまったNHK大河ドラマのお題は「豊臣兄弟!」。主人公・豊臣秀長は川本食品の地元・大和郡山城主で、その縁で番組ロゴや秀長の肖像画の商品ラベル使用も許されたそうだ。大和の地で製造する川本食品の蕎麦、うどんには奈良県民の真に実直な「大和心」の心意気と香気が漂っている。

自ら手掛けるパッケージデザインの制作に余念がない川本社長
抹茶や蕎麦の風味が味わえる看板商品の「茶そば」

駒谷篤志さん
(公財)奈良県地域産業振興センター
事業化推進課 事業化推進コーディネーター

2026 年大河ドラマ「豊臣兄弟!」のゆかりの地、大和郡山市で古くから地域で愛される「そば」「うどん」を作りつづけてこられました。代表は趣味も多彩で弦楽奏者で写真家でもあり、コンサートや写真展も開催しています。そのお人柄が製品の命ともいわれる『味』に凝縮され、量販店や麺の専門店などで好評です。行列ができる某蕎麦屋さんにも卸していることは知る人ぞ知る秘密となっています。さらなるご活躍が楽しみです。