㈱Dessunは社会課題の解決に貢献したい中小企業と、NPO(特定非営利活動法人)をマッチングするプラットフォーム「TIE UP PROMOTION」を開設、はやくも300団体以上のNPOが登録するなど、注目の的となっている。
企業採用サポートのスペシャリストでもある 髙橋社長
                        

TIE UP PROMOTIONの生みの親である髙橋真哉社長(39歳)は、民間企業で採用サポートの仕事を経験した後、個人事業主として独立し、数社の企業顧問を務めてきた。そのなかで「企業から『SDGsなど社会貢献をしたいけれど、どのようにしたらいいかわからない』という相談が増えてきた」という。そして、ちょうど「活動資金を増やしたい」というNPOの相談も受けていたこともあり、「NPOと中小企業を結びつけることができれば、社会課題解決の新しいビジネスが生まれるのではないか」とヒラめいたそうだ。こうして、髙橋社長は以前から興味があった佐賀県に2020年に移住して㈱Dessunを設立、前出のプラットフォームを立ち上げたのだ。

優れたベンチャー企業を表彰 し、支援するKVM( 九州・ 山口ベンチャーマーケット) 2021 で、スタートアップ部門 の優秀賞を受賞したDessun

といったところで、このプラットフォームによるマッチング例を紹介したい。たとえば、運送会社から「配送中の事故を減らしたい」という相談を受けた髙橋社長は、ワクチンを普及するNPOを紹介し、無事故で1回の配送を終えるごとに、20円がNPOに寄附される仕組みをつくった。「ドライバーには自分の安全運転でひとりの命を救えるかもしれないという使命感が生まれ、事故が大幅に減少した」と髙橋社長。また、この取り組みによってワクチン普及のNPOには月8万円程度の収入が入るようになり、「活動の幅が広がった」といった喜びの声が。ほかにも、人手不足に悩む鉄工所と、引きこもりの子どもなどの社会進出をサポートするNPOをマッチングし、人材確保につなげるなど、さまざまな事例が生まれているという。「今後もマッチング例を増やしていきたい」と意気込む髙橋社長は「全国に約350万社ある中小企業の1㌫、3万5000社と、5万団体あるNPOがマッチングし、月3万円程度の収入がNPOに入った場合、年間100億円以上の市場規模になる」と見込んでいる。
同社では今、この目標を達成するために、プラットフォーム内にNPOの活動内容を掲載、企業が相性のいい団体をいつでも探せるような仕組みを整えている。また、登録NPOの数は300団体を超えており、今なお増えつづけているという。髙橋社長は「年内には1000団体のNPOに登録してもらい、NPOに関する日本一のオウンドメディア(自社保有のメディア)に成長させていきたい」と力を込める。ソーシャルビジネスが、ますます盛り上がっていきそうだ。