秋田県美郷町は未整備の2 次交通を補おうと、隣の大仙市にあるJR 大曲駅から町内の観光名所を結ぶ乗合タクシー「ミズモシャトル」を期間限定で運行している。大曲駅は秋田新幹線が停まる駅で、1 次交通は比較的利便性が高いが、同駅を発着する路線バスなどの公共交通機関が不十分で、2 次交通は便利とはいえない。事実、大曲駅から町内最大の名所、ラベンダー園には一般のタクシーを使わざるを得ず、アクセスに約 30 分かかり運賃も6000 円を超えてしまう。そこで町は地元のタクシー会社 3 社の協力を得て、昨年、乗合タクシー運行の実証実験に乗り出した。

タクシーの名称は清水の郷でも知られる町のイメージ  キャラクター「美郷のミズモ」から取ったという。2年目の今年はラベンダーが見頃を迎える6月を挟み、4月から8 月まで走らせる。大曲駅とラベンダー園のほか、名水市場「湧太郎」と道の駅「美郷」の計4カ所をタクシーで結ぶ。発車時刻は午前 10 時、正午、午後2 時、午後4 時の4 回。なお、大曲駅発は、午前 10 時、正午、午後 2 時の3  回。運賃は大曲駅~ラベンダー園、ラベンダー園~道の駅、道の駅~大曲駅はひとりあたり片道 2300 円、大曲駅~名水市場、名水市場~ラベンダー園は1700 円、名水市場~道の駅は1100 円と、一般のタクシー運賃の3 分の1 程度で済む。

初年度の昨年は6月から8月までの間に40 件の予約が入り、54人が利用した。コロナ禍が明けたこともあってラベンダー園の昨年の来 場者は例年の約 7 万人を超える約 10 万人が訪れた。タクシー会社も「予想を上回る需要」と手 応えを感じ、今年は運行期間を延ばしている。

ちなみにラベンダー園内には約 2haの畑に約2万株の花が咲き誇り、一般的な青紫の花びらの品種に加えて、美郷町オリジナル品種のホワイトラベンダー「美郷雪華」も見られる。美郷雪華は花のエキスがロート製薬のハンドクリームや無印良品の化粧水に用いられるなど、さまざまな商品に活用されており、今回の乗合タクシーによる来場者増がその販売実績を後押しすることも期待されている。町は「昨年度の課題を踏まえ、今回から時刻表による運行や観光モデルルートを設定するなど、より利便性を高めた運用を目指している。ミズモシャトルをきっかけに、より多くの方々に美郷町の魅力を体感してほしい」と語っている。

(問い合わせ)美郷町商工観光交流課
TEL:0187-84-4909
HP:https://www.town.misato.akita.jp/kankozigyou/4641

美郷町オリジナル品種の、ホワイトラベンダー「美郷雪華」
ミズモシャトルの乗り場