新潟県立高校再編の3ヵ年計画(令和5年~7年、県立高校再編整備計画)は22日、県議会総文常任委員会に示され、県立十日町高等学校・松之山分校は昨年に続き「令和5年度(2023年度)募集停止・統合」が再度示され、県方針通りになる事が濃厚になっている。だが今回、同分校PTAが動き、県方針に対し松之山分校の良さを前面に出し、「存続」を強く求める活動を展開する方針で、10月県教委の正式決定まで松之山地域や分校関係者など最後の存続要望運動に取り組む。

募集停止問題は、昨年6月公表の同計画に「令和5年度募集停止」が載り、以降、松之山地域と十日町市は県議同行で直接県要望を繰り返し、昨年10月には当時の稲荷県教育長が松之山で地元関係者と懇談、今年に入り6月には4月就任の佐野県教育長が松之山を来訪し、地元関係者と懇談するなど地元は「存続」要望を重ねて来た。

だが、再度の「募集停止」記載。松之山分校(松高)の存続運動を牽引する「松高支援連絡会」の小野塚良男会長は「子どもの数が少なくなる中で、再度の募集停止記載、仕方ないのかなぁと地元は傾きつつあるのが現実だが、10月の県教委が正式決定であり、今回PTAの皆さんも動き、さらにできる事に取り組みたい」と落胆しつつ、最後の望みを抱き、存続要望を続ける方針だ。

松之山分校は現在各学年1クラスで全校65人。昨春は募集前に「3ヵ年計画」で募集停止記載が出たため、地元松之山からの入学はなかったが、今春は3人が松之山から入学している。県庁まで直訴し、再三県教委と話し、強く存続要望してきた小野塚会長だが、「子どもの数を言って来られたら、現実的にはどうしようもない。ただ何度も訴えているが、松高での3年間で子どもたちは自信をつけ、新たな目標に向かって卒業している。小規模校の良さが良く出ているのが松高であり、ここは県も認めている。だが数で来られたら、我々はどうしようもない」と話す。

6月17日、松高支援連絡会、松之山自治振興会(樋口一次会長)の関係者は、4月就任の県教委・佐野哲郎教育長の来訪を受け松之山で懇談。当然「存続要望」したが、県方針は変わらなかった。県は「松之山だけの高校教育を考えるのではなく、松代を含めもっと広く考えることが必要」と昨年と同様な論点だった。

県方針公表前の19日、定例会見で十日町市の関口市長は「教育長にも知事にも意見は表明している。魚沼地域の高等学校、中等を含め、どうしていくのかということを再三再四、聞いている。県の踏み込んだ考えを聞かないと、これはちょっと止めます、その次はこうします、という方式でやられるのは困る。それをしっかり示すことが協議を進める前提である。同じ内容を手紙でも直接渡しているが、残念ながら返事はまだない。高校再編について2年前、大きな変化があったわけだが、そこまで考えているなら大きな高校再編のあり方を示し、1校1校、検討しょうと一貫して言い続けている」と県教委の取り組み姿勢のあり方を指摘する。

同じ19日、地元松之山地域では同校PTAも参加の松高支援連絡会の会合を開き、22日公表の県方針を話し合った。小野塚会長は「やっと今のような形ができたのに残念で仕方ない。いろいろな事情で学校へ行けなかった子たちが、松高なら行けると、その雰囲気が広がり、松高に行こうという機運がようやく出来てきた。それだけに再度の募集停止は本当に残念だ。だがまだ10月の県教委の決定まで時間がある。出来ることには取り組みたい」と分校PTAなどと連携し、最後の存続運動に取り組む方針だ。

県方針通り実施の場合、松之山分校の2023年4月入学生は松代高に入学し、分校の在校生が卒業する2025年度末で閉校することになる。

2022年7月23日(妻有新聞)