県初記録のオオクニクロハナアブ

小学生による新発見が相次いでいる。新潟県十日町市松之山の森の学校キョロロ。自然や生物に親しむ体験活動を継続し、開館20年目を迎えている。市民協働調査「ハナアブしらべ」は2年前から春~秋にかけ月1回開催。キョロロ周辺や大厳寺高原で20回余り行うなか、同調査に参加する児童により、県内初記録や新種、日本未記録の種の可能性があるハナアブが見つかるなど、里山の地道な調査で小学生でも新発見種を見つけることができる機会を生み出している。

ハエ目ハナアブ科「ハナアブ」は花粉や密を食べに花に集まる、ハチと似ている種。キョロロによると、県内では比較的調査が進み、すでに約150種を記録、未記録の種を採取するのは難しいという。だが調査の結果、2021年9月に県内初記録の「オオクニクロハナアブ」のメス1個体をまつのやま学園4年の大谷成輝さんが発見、同種は国内約10例の記録があるのみ。さらに新種の可能性があるベッコウハナアブ属の一種を上越市立中郷5年生の村越心士(しんと)さんが2020年6月にメス1個体を採集、日本未記録の可能性があるクロハナアブ属の一種を南魚沼市立上田小4年の小林頼斗さんが2021年5月にオス1個体を採集。3人の小学生は、同調査に継続参加し発見した。

キョロロの加藤大智研究員は「地道な調査継続で未確認種が見つかっている。小学生でも新発見ができる環境が十日町市にはあり、地域の自然や生物多様性に関心を持つきっかけにも繋がる。いろんな方に参加して欲しい」と話す。なお詳細を記した研究紀要『十日町市松之山のハナアブ科の記録』はキョロロホームページからダウンロードできる。次回ハナアブ調査は今月20日行う。

(2022年8月6日 妻有新聞)