(上写真)ありま展望台の近くにある「ジュリアの十字架」。徳川家康に召し抱えられたにもかかわらず、キリスト教禁止令が出された後も信仰を貫き、神津島に流された「おたあジュリア」を偲んで建てられたものだ

バーチャルでもリアルでもOK!!
究極のオリジナル観光アプリで
最強のアドベンチャーを体験!!
東京・神津島にあるB&Bスタイル(※)の宿「みんなの別荘 ファミリア」が、神楽坂(東京都新宿区)にあるゲーム制作会社「マインドウェア」とコラボし、神津島を舞台にしたオリジナル観光アプリの開発をすすめている。その名も「アプリでガッツリ神津島」、あたかも神津島を巡っているかのような体験ができるだけでなく、実際に島を巡りながら歴史・文化を学んだり、島民とのふれあいを楽しんだりすることもできるというユニークなアプリだ。しかも、今後はスマートフォンのGPS(位置情報)機能を活用し、神津島の史跡・名所などの音声ガイドも実装するとのことなので、さらに楽しみの幅が広がっていきそうだ。離島でこのようなゲーム性とガイド性を備えたアプリが開発されるのはおそらく日本初、これがヒットすれば、今後はほかの離島にも展開されていくかもしれない。というわけでさっそく、今号ではこのアプリのおもしろさを味わってようと、竹芝客船ターミナル(東京都港区)から「まるごとプラネタリウム」の神津島へ。アプリの誕生秘話やアプリに登場するイチオシスポットを紹介するとともに、ウェルネスとヒーリングに満ちた神津島の魅力をディープにリポートしてみたい。
※「Bed & Breakfast」の略で、主に宿泊と朝食を提供するスタイルの宿のこと。
〝やりこみ要素〟(※)満載のオリジナル観光アプリで
神津島を隅から隅まで深掘り探索!!

神津島の宿「みんなの別荘ファミリア」と神楽坂(東京都新宿区)にあるゲーム制作会社「マインドウェア」がタッグを組んで開発中のオリジナル観光アプリ「アプリでガッツリ神津島」(8〜9月にGooglePlayストアなどで配信開始/基本無料)。
まずはその特徴と遊び方にズームイン!!

※要素が豊富で、何度も遊べる仕組みになっていること。
観光アプリをフル活用して、神津島の魅力をディープに探索しよう
                             

島内でも島外でも神津島を満喫できる
「すごろくゲーム×GPS音声ガイド」

「みんなの別荘ファミリア」と「マインドウェア」が開発中の神津島のオリジナル観光アプリ「アプリでガッツリ神津島」の特徴をカンタンに説明すると、神津島を舞台にした「すごろくゲーム×GPS(位置情報)音声ガイド」といった感じだ。すごろくゲームに関しては、すごろくのようにサイコロを振って、メインキャラクターをアプリ上のマップで移動させるというもの。止まったところのマスの色に応じてさまざまなイベントが発生したり、史跡・名所のガイドを見ることができるという仕組みで、ときには島にまつわるクイズも出題されるというから実にユニークだ。たとえば、史跡・名所を示す「赤マス」や「青マス」ではそのスポットを「たんさく」してアイテムを集めたり、島民との「ふれあい」を通じて神津島ならではの情報をゲットしたりすることができる。また「黄マス」ではクイズイベントが発生し、楽しみながら島の生活や自然、文化・風習などを知ることができるという。
ユニークなのは実際の日時やアプリ上の天候などによって、「たんさく」で得られるモノが変化すること。たとえば、伊豆諸島固有の植物である「サクユリ」をゲットしたい場合は、実際にサクユリが咲く月上旬にアプリ上で「たんさく」を実施しなければならないという仕組みになっている。ほかにも、このアプリの特徴はまだまだある。アプリ起動時に設定する架空の宿泊日数もそのひとつで、実際にその期間内にすごろくゲームを終えなければならないという。また、アプリ上で天上山に登る場合には、実際の登山で水を携帯しなければならないように、事前に「水」というアイテムをゲットしておく必要があるといったルールも。そうやって「ゲームのなかに〝島のリアル〟を盛り込んでいくことで、神津島の魅力や観光の際の注意点をわかりやすく知ってほしいと考えた」とファミリアの田中健太郎さん(36歳)、あやのさん(35歳)夫婦は話す。ちなみに、「たんさく」でゲットできるアイテム数は最終的に300点以上(予定)になるというから、これらをすべてゲットするにはアプリ上で何度も島を巡り、「ふれあい」や「クイズ」を楽しみながら「たんさく」をつづけるしかない。これが魅力、まさに〝やりこみ要素〟満載、神津島ファンならずとも、ついついハマってしまうこと間違いなしである。
では、もう一方のGPS音声ガイドはどのようなものなのか。田中さん夫婦によると、その機能はアプリ上のマップがスマートフォンのGPSと連動するようになっており、島内の史跡・名所などで、オリジナルの音声ガイドを聞くことができるというもの。しかも「たんに説明を読み上げるだけの音声ガイドではなく、歴史上の人物が語りかけるかのように解説することで、さらに理解を深めてもらえるようにしたい」とも。
すごろくゲームで神津島に関心を持った人たちが実際に島を訪ね、このGPS音声ガイドを使ってディープな島旅を楽しむ。そんな流れを生み出しそうな観光アプリだ。

キュートでディープな神津島ならではの観光アプリ
開発中のアプリの画面を少しだけ紹介。実際に「すごろくゲーム」がどのような感じで遊べるかをチェックしてみよう。
①マップ画面でサイコロを振り、マップ上を移動する。イソヒヨドリをモチーフにしたオリジナルキャラクターがとってもキュ ート。  
②「赤マス」と「青マス」に止まると、そのスポットの情報が表示され、「たんさく」や「ふれあい」といったコマンドを選択することができる。
③「たんさく」のコマンドを選択したときの画面。「たんさく」で見つけたアイテムはアプリ内の「図鑑」に自動的にコレクションされていくので、島内外でアプリをやりこみ、コンプリートを目指そう! ※画面はすべて開発中のものです。  
「すみっコぐらし」の作者であるよこみぞゆりさんが制作したメインキャラクター                            

共感の輪が広がり
豪華な制作メンバーが集結

この先進的な観光アプリには「神津島で『通年観光』を実現したい」というファミリアの田中さん夫婦の思いが詰まっている。開発の経緯などは頁で紹介するが、ふたりの思いが共感を呼び、このプロジェクトにはマインドウェアの市川幹人さん(51歳)のほか、多彩なプロフェッショナルが参画している。
たとえば、「すみっコぐらし」の作者であるよこみぞゆりさんは、神津島村の村鳥であるイソヒヨドリをモチーフにしたメインキャラクターを制作。なんでもよこみぞさんは以前にファミリアに宿泊したことがあり、そのことを思い出した田中さんがオファーしたところ、すぐに承諾してもらえたそうだ。また、音楽については市川さんのつながりで、ゲーム音楽の大家である小沢純子さん(『ドルアーガの塔』など1980年代のナムコ作品の音楽を制作)が担当するなど、小さな島の観光アプリとは思えないほど豪華な制作陣となっている。

次回はファミリアのふたりにアプリに登場するスポットの一部を巡ってもらったので、誌面を通してこのアプリのおもしろさ、神津島の奥深さを感じ取ってみてほしい。