地下ダムなどの農業水利施設を管理する沖縄県宮古島市の宮古土地改良区(多良間雅三理事長)は農家に対し、サトウキビ畑への過剰なかん水をやめ、適正量を守るよう呼び掛けている。適正量を超過した場合、水量代金が高額になる恐れがあると指摘。ルールを守らない箇所は、一定期間使用を停止にするなど厳しく対処する。

7月から農業用水の使用量が増加していることから、同改良区は同月下旬から「かん水パトロール」を実施。農家に決められたかん水日時に沿った適正な水利用の順守を訴えている。

曜日外や午後10時から翌日午前6時までの使用は停止しており、「深夜かん水が増加すると、ファームポンドに十分な水量が確保できないため、翌日の使用者がかん水できなくなる」(同改良区)として、理解と協力を求めている。

キビへの適正量は「干ばつ時には週1回程度」、かん水時間は「午前6時から午後10時」、「10㌃当たり30㌧が目安」となっている。

ルールを1回違反した場合は、その箇所を1週間、2回目になると1カ月間それぞれ使用停止措置を実施している。

2020年4月から地下ダムの水の使用料は、基本水量を超えた場合の「使用水量」として1㌧当たり15円が加算される「従量制」になっている。

このことから「一部のほ場ではあるが、適正量を超過して使用されている箇所があり、超過水量代金が高額になる恐れがある」として注意を呼び掛けている。

同改良区では「水無し農業から脱却し、農家所得は大幅に向上した。しかしその反面、バルブの操作で簡単に畑にかん水できることから、農作物への過剰なかん水が増え、安定した農業用水の供給に支障を来している」と指摘。その上で「今一度、水の大切さやありがたさを再認識してほしい」とかん水のルールを守ることを強調している。

(2022年8月24日宮古毎日新聞)