秋田県の大館市と小坂町を結ぶ旧小坂鉄道(22・3㌔㍍、2009年廃止)を活用し、地域活性化を図ろうというシンポジウムが9月23日、同市長木公民館で開かれた。沿線の関係6団体の代表らが活用に向け現在取り組んでいることを発表し、パネル討論を展開。一般参加者約70 人と一緒に、地域活性化を実現するための連携の在り方を探った。

官民連携で鉄道施設を活用した地域活性化の在り方を探ろうという取り組み。同市上代野の住民らでつくる岱野駅前プロジェクト(九嶋光夫会長)、NPO法人大館・小坂鉄道レールバイク(近藤肇理事長)、長木公民館(三浦栄一館長)主催。

2回目となる今年は、オープニングに長木小学校の児童らが参加。伝統の鳳凰太鼓を披露し、シンポジウムに花を添えた。来賓を代表し、福原淳嗣大館市長が「小坂鉄道の歴史を深掘りすることは非常に重要なこと。歴史あるこの鉄道の魅力を一緒に磨き上げていきたい」などとあいさつした。パネル討論のテーマは昨年に引き続き「レールが結ぶ未来への物語。今、可能性と希望を語ろう」。

昨年も出席した岱野駅前プロ事務局の三浦孝志さん、大館市観光交流施設・秋田犬の里の佐藤和浩館長、大館・小坂レールバイクの近藤理事長、小坂鉄道保存会の亀沢修総務企画局長の4人に、今年は大館製作所の中田峻専務、ゆきさわ産直センターの鳥潟功幹事長を加えた6人がパネリストとして臨み、三浦館長が進行役を務めた。

秋田犬の里の佐藤館長は「鉄道の存在を知らない人がまだ多い。さまざまなイベントを仕掛け、まずは鉄道ファンを取り込むなど、積極的な『攻め』の姿勢が重要」と指摘。大館駅で秋田犬と触れ合った後、岱野駅でアジサイ、東岱野駅で大館製作所内の鉄道模型などを見学し、ゆきさわ産直センターで買い物する―など「ツアーで連携できないか」と提案した。

今年から参加したゆきさわ産直センターの鳥潟幹事長は「研究者との調査で、雪沢地区が秋田蕗(ふき)の発祥の地であることが分かってきた。これをブランド化し、比内鶏などと肩を並べる新たな名物を沿線で売り出せれば」など展望を示し、岱野駅前プロが進めるアジサイの植樹と合わせ、沿線に秋田蕗を植えることなども提案した。

大館製作所の中田専務は「建物の老朽化などで、樹海ラインからの弊社の景観に課題があったことなどから、アジサイの植樹に参加させていただくことになった」と参加の経緯を説明した上で、「同じ地域の会社として、みなさんと一体となった活動を展開したい。試験的に行っているアジサイの植樹が成功したら、来年からも増やしていきたい」などと今後も協力していく考えを述べた。

参加者からは「四十八滝が見えるよう枝の刈り払いを工夫できないか」「高齢者などがゆったりとくつろげるベンチが必要」「イベントを広域化して連携を図るべき」などのアイデアが出た。
三浦館長は「多くの人の関わりを力にし、つながりを形にしていけるシンポジウムにしていければ」などとまとめた。

(北鹿新聞 2022年9月24日)