東京都心からのアクセスが良く、豊かな自然と特産品に満ちあふれた東京多摩地域。本コーナーでは、東京都商工会連合会 多摩観光推進協議会と連携し、新しい多摩の観光の魅力をタップリお伝えしていく。今回、スポットを当てるのは、八王子観光コンベンション協会がこの9月にスタートした「貸切バスで巡る♪ 1テーマの旅」。地域の文化や産業をディープに学べると評判のこのバスツアーの魅力をさっそく紹介したい。
(上写真/創輝㈱の契約農園(桑畑)での青汁試飲の様子)

「桑都」の古今を体感できる
ディープなツアー

かつて、東京都八王子市に「シルクロード(絹の道)」があったのをご存じだろうか。蚕かいこのための桑の栽培とその蚕から生糸をつくり出す養よう蚕さん 業ぎょう、そして絹織物の生産が盛んだったことから、江戸時代中期以降、八王子は「桑都(そうと)」と呼ばれて栄え、絹を横浜港へと運ぶ商人たちが行き交ったのだ。こうした歴史は今なお市内各所にさまざまな形で息づいており、「絹の道」と名づけられている道もある。
「八王子市の観光スポットというと高尾山が有名だが、『桑都』としての歴史や文化にもスポッを当てていきたい」と話すのは、公益社団法人八王子観光コンベンション協会観光振興課の平田貴史氏。そこで、オリジナルバスツアーを実施してその魅力を積極的に発信していこうと、同協会みずから地域限定旅行業(※1)の資格を取得。だが、その後間もなくコロナ禍が本格化。やむを得ず2020年、21年のバスツアー実施はあきらめ、今年9月下旬にようやく第1弾バスツアーを実施することができたという。
ツアー名は「桑都の古今! 日本遺産(※2)バスツアー」。文字どおり、往時の桑都と今の桑都、そのすべてを味わえるバスツアーだ。ツアー当日、まず参加者たちは東京都唯一の養蚕農家、八王子長田養蚕の蚕飼育室を見学。「蚕が独特な咀嚼音を立てながら桑をタップリ食べて繭づくりに備える様子を見て、一同、大いに感動していた」という。
ついで向かったのは、すぐ近くにある桑畑。何でも、ここの桑は蚕に食べさせる従来の品種ではなく、「市内にキャンパスのある創価大学工学部の押金健吾名誉教授が人間の食用に特別に開発したもの」で、従来品種の約1・5倍も葉が大きく、青臭さがなく抹茶のような味わいと、高い栄養価が特徴なのだとか。地場企業の創そう輝き ㈱がこの桑を活用した「桑の青汁」や「茶」といった加工品を開発、その販売に取り組んでいる。「ツアー当日は同社の社長から青汁が振る舞われ、養蚕産業の衰退とともに忘れられつつある桑を健康食品として生まれ変わらせた思いや経緯を話してくれた」そうだ。

その後、かつて機屋で働く工女たちが「機織りの腕が上がるように」と祈願した機はた守がみ神社を参拝し、都内では最大のネクタイ工場として知られる㈱成和ネクタイ研究所を見学してツアーは終了。参加者からは「『桑都の古今』に絞ったディープな内で良かった」と大好評だったそうだ。「今後も桑都ならではの文化が感じられるツアーを打ち出していく」と平田氏。12月6日(火)には続編ともいえる「桑都の文化! 日本遺産バスツアー」を実施するという。

「桑都の古今! 日本遺産バスツアー」9月21日㈬ 蚕飼育室見学の様子
桑の葉を食べる蚕たち。9月下旬、栄養を蓄えていよいよ繭をつくりはじめる直前の時期にしか見られない光景だという
バスツアー参加者へのお土産の「干支のまゆ細工」。八 王子長田養蚕の奥さんが蚕の繭玉を使った手作り
古くから養蚕と機織り、そして縁結びの神様として信仰を集めてきた機守神社(大善寺境内)。祭神は白瀧姫

地域を越えた連携で
観光誘客を加速

八王子観光コンベンション協会では、この「桑都」をテーマとしたバスツアーのほかに、隣接する市町村と連携したユニークなバスツアーをつぎつぎと企画している。「当協会と同じく、旅行業を持つ町田市観光コンベンション協会と『自治体の境を越えて協力し、ともに多摩地域への観光誘客を加速させよう!』と意気投合、おたがいの地域の魅力をテーマにしたバスツアーを交互に実施することにした」という。その第1弾が10 月17日(月)に実施した「町田で育つ未来の食べ物見学ツアー」だ。その名のとおり、町田市の先端技術でつくられる食品の生産の様子を見て回るというもので、「八王子市民が隣りの町田市の産品に興味津々だった」とのこと。12月9日(金)には逆に、町田市発の「八王子で学ぶ『和』と『美』の伝統再発見バスツアー」を実施する。「同様の盛り上がりを期待している」と関係者。

「町田で育つ未来の食べ物見学ツアー」10月17日㈪ 玉川大学の植物工場研究施設やLED 農園で、無農薬ハイテク野菜づくりの現場を見学
町田式水耕栽培槽で作られている「まちだシルクメロ ン」の農園を見学、メロンの試食も

「今後もさまざまなバスツアー企画を通して、地域の文化や歴史をあらためて掘り起こし、スポットを当てるとともに、地域連携による観光誘客や物産PRを積極的に行っていきたい」と意気込む平田氏。コロナ禍の収束とともに、こうした独自のマイクのマイクロツーリズムが多摩観光の可能性を広げていくと確信する。

八王子の「桑都」としての文化と歴史については、東方通信社グループの YouTubeチャンネル『コロンブスTV』の番組「東京TAMAらん!旅図鑑」で後日、動画コンテンツを公開予定!お楽しみに!