(上写真)累計販売3万台を突破している「糖質化カット炊飯器」

ここ数年、コロナ禍における巣ごもり需要の影響により、キッチン家電市場が活況を呈している。その追い風に乗って、つぎつぎとユニークな製品を世に送り出しているのが、家電ベンチャーのAINX(アイネクス)㈱だ。

同社はまず、国内大手エレクトロニクスメーカーの社内事業としてスタートし、2019年10月に独立して創業。これまで開発した4つのキッチン家電は、どれも発売から1年以内に1万台以上が売れている。たとえば「糖質カット炊飯器」もそのひとつ。糖質を含んだ煮汁を上蓋に押し上げて内釜に戻さない独自構造により、通常の炊飯器で白米を炊いた場合と比べて最大33㌫の糖質カットを実現。ダイエット中や健康志向の消費者を中心に「手軽に摂取カロリーを減らせる」と好評だ。
同社副社長の酒井隆正氏は、「『糖質カットしたお米はおいしくない』というイメージを持たれている方も多いと思うが、あるテレビ番組で通常の炊飯器で炊いたお米と食べ比べをした際、弊社の炊飯器で炊いたお米のほうがおいしいと判定した出演者が多かった。コンパクト形状で手入れも簡単なので、2台目にもピッタリ」と胸を張る。技術的には50㌫近くまで糖質カットが可能だが、食味とのバランスを追求した結果、あえて最大33㌫に抑えているそうだ。
また〝時短ニーズ〟を捉えた「スマートオートクッカー」は、煮る、蒸す、揚げるなど1台で8役の調理を自動でこなすスグレモノ。最大の特徴はフタに取りつけられたウイングが調理メニューに応じて鍋のなかの食材をかき混ぜてくれることだ。これにより、一般的な圧力鍋では不可能だったチャーハンなどの炒めものほか、カレーやパスタも〝ほったらかし〟で調理が可能に。たとえば、鍋に油を引き、スパゲティ、ひき肉、タマネギ、缶詰のトマト、水、調味料を入れてボタンを押せば、12分後にはボロネーゼスパゲティが完成する。「本当に幅広いメニューの調理が可能で、50以上の専用レシピを掲載したレシピブックもついている。ホームページやSNSでも専用レシピを随時更新しているので、ぜひ日々の献立に役立ててもらいたい」とのこと。

「お客さまとコミュニケーションを取りながら商品開発をしていきたい」と話す 酒井副社長
煮込み料理はもちろん、チャーハンやパスタも自動調理可能な「スマートオートクッカー」
トースターだけでなく、ホットプレートの役割もはたす「スマートトースターグリル」
                       

さらに今年11月には「スマートトースターグリル」を発売。これは一見すると普通のトースターだが、実はフタが180度開閉できて、変形すればホットプレートとしても利用可能。焼き肉やたこ焼き、鍋ものもつくれる。
「市場のニーズをタイムリーに捉えて、スピード感を持って開発できるのが弊社の強み。12月には美容効果が期待できるヘアドライヤーも発売する。今後、キッチン家電に留まらず、リーズナブルでありながら、ワンポイントの付加価値をつけたスマートな家電をどんどん提供していく」と酒井氏。
つぎはどんな家電が登場するのか楽しみだ。