鹿児島大学が奄美群島在住者や移住希望者を対象に開講中の「奄美環境文化教育プログラム」の実習が1月7、8日の2日間、鹿児島県大島郡徳之島を対象にあった。受講生36人のうち23人が選択参加。地元の専門家など住民とふれあいながら世界自然遺産ゾーンや遺跡、食生活文化など体験・見学し、同島の特性を考えた。

同環境文化教育プログラムは、同大の高等教育研究開発センター・生涯学習部門(リカレント教育)が実施。「奄美の環境文化」の観点で奄美群島5島とそのシマ(集落)の地域特性を捉え直し、その価値を生かした新たな仕事を生み出せる起業家・職業人の支援などが目的。今年度で2年(回)目。

今年度は昨年10月23日に開講、3月19日まで。受講生らはオンライン授業(一部対面授業含む)で奄美群島の「環境文化」を学習。現地実習は▽奄美大島(実施済み)▽今回の徳之島▽与論島(20~22日予定)▽喜界島(28~29日同)▽沖永良部島(2月11~12日同)から2島以上を選択参加。座学を基に、身体感覚をもって理解を深め、島・集落(シマ)のブランディングも検討する。

徳之島実習は、奄美群島国立公園特別保護区とも重なる徳之島町「剥(はげ)岳林道」での自然観察から開始。伊仙町阿権の古民家「前里屋敷」では、郷土料理や玄米茶を泡立てる伝統の「ふり茶」も体験。天城町西阿木名の「下原洞穴遺跡」では奄美最古の「隆帯文土器」も出土した発掘現場も見学、約1万3、4000年前の歴史ロマンにふれた。

2日目は、徳之島町井之川集落の海岸利用や同集落の成り立ちと変遷などに続き、「未来創りラボいのかわ」でミニシンポジウムも開き意見交換した。

離島暮らしが好き3年前、大阪から伊仙町に移住し昨年11月、雇用創出や流動的な労働力提供を目指す「とくのしま伊仙まちづくり協同組合」事務局長に抜てきされた大保健司さん(35)は妻・由佳里さん(35)とそろって2年目も受講中という。

理由に「島への移住支援のためにも、まずは自分が島の事を知る必要が。私自身、島の歴史文化、自然に近い暮らしが大好き。学び直してみたら、新たな発見がどんどん出てきた。今回は特に技術が伝承されていた『ふり茶』体験が印象深かった」と話した。

(奄美新聞 2023年1月8日)