ここ数年、コロナ禍を背景に密を避けて楽しめるアウトドアアクティビティの人気が高まっている。とりわけキャンピングカー業界が一大ブームに。(一社)日本RV協会によれば、国内におけるキャンピングカーの保有台数は2005年の初調査以降、増加傾向にあり、21年の累計保有台数は過去最高の13万6000台となった。これに伴って国内キャンピングカーの売り上げ総額も年々増加、21年には10年前の約3倍、過去最高の635.4億円に達したという。当然、キャンピングカーのレンタカーの需要やオートキャンプ場の稼働率なども急伸している。
この勢いにノッて、東京多摩に一風変わったキャンピングカーのレンタルサービスが誕生し、話題になっている。国分寺市の「BUSH CAMP(ブッシュ・キャンプ)」がそれだ。
このサービスの特徴は、たんにキャンピングカーを貸し出すだけでなく「行き先・滞在先を利用者に提案してくれる」ことだ。「これまで、日本でキャンピングカーによる車中泊スポットといえばオートキャンプ場か道の駅などに限られてきたが、しかるべきところに許可を取れば、もっと特別な楽しみ方ができるのではないかと考えた」と話すのは、Bush Camp㈱代表取締役の豐岡正貴氏(51歳)。たとえば、酒蔵やワイナリーはクルマでないとアクセスできない山奥などにあり、周囲に宿泊施設がないケースが多いため、運転手はお酒が飲めないし、日をまたいで地域に滞在もできない。「でも、酒蔵やワイナリーの敷地内にキャンピングカーを置くことができれば、お酒を飲んでそのまま宿泊し、施設内や地域の飲食店で食事をとり、翌日には近隣をユックリと周遊することも可能だ」と。また「花の名所や公園、海岸、普段は入れない個人所有の山林などにキャンピングカーで泊まったら、夜中や早朝に特別な景色を独占できると考えた」と話す。豐岡氏はこのアイデアを形にするため、さっそく東京多摩や関東近県を中心に酒蔵、ワイナリー、釣り堀り、管理釣り場、バーベキュー場、温泉、神社仏閣、風光明媚な公的施設などをピックアップ、キャンピングカーのサイトとしての利用を呼びかけた。「土地提供者側は設備投資などのコストをかけることなく、水道や電気の有無に応じて設定した利用料金(数千円~1万円程度)から一定割合を得ることができ、かつあらたな高付加価値化、魅力創出にもつながるため、多くの施設が好反応を示してくれた」そうだ。
▽ 酒蔵から釣り堀り、山間のパン屋さんまで、多摩エリアの魅力的な車中泊サイト ▽
その後、さまざまな施設と実際に契約を結び、21年7月にはまずキャンピングカーのレンタルサービスをはじめた。そして22年秋からはいくつかの施設内での車中泊もはじまり、口コミなどでジワジワと話題になっているという。好評なのはやはり東京多摩エリアだ。「都心から近く、豊かな自然に囲まれていて、エリア内に魅力的な観光スポットや特産品がたくさんあるので、まさにBUSH CAMPにピッタリ」と豐岡氏。今後は鉄道会社とも協議をすすめ、「駅前からすぐキャンピングカーに乗り換えて周辺地域の観光を楽しむ、というサービス」も準備中とのこと。地域にあらたな価値をもたらし、地域の魅力を最大限に引き出すBUSH CAMP、ぜひともこれからの多摩観光を牽引していく存在となってほしい。
Bush Camp ㈱ 代表取締役の豐岡正貴氏
Bush Camp ㈱
東京都国分寺市西恋ヶ窪1-45-19 武州交通興業㈱内
℡ 042-359-4220
https://bushcamp.jp/
「BUSH CAMP」については、東方通信社グループの YouTubeチャンネル『コロンブスTV』の番組「東京TAMAらん旅図鑑」で関連動画を公開中!ぜひご視聴ください!