(上写真)新ブランド「ダニエルラボ」の「ニックポック」。液体燻製技術を活用したコラボ商品だ

けっして巨大な市場ではないが、確実に一定数以上の需要があり、欧米のみならず日本で徐々に人気を高めているベジタリアン食品。この菜食主義者向けの食品を製造しているのが三育フーズ㈱だ。

同社のルーツはセブンスデー・アドベンチスト教団(プロテスタント系キリスト教会)の食品部門で、菜食主義者向けの食品製造では定評がある。昨年は卵なども使わない「純菜食」の新ブランド「ダニエルラボ」を6月に立ち上げた。
その第1弾として発売したのは「ヴィーガンハム」。同社ではすでに植物性たんぱく質を使った大豆のハムを定番商品化していたが、卵白が入っていた。「これではヴィーガン(総菜食)の方のメインディッシュとして食卓に出せない。そこで、あらたに卵白を使わずに成形することにチャレンジ」した結果、この商品開発、ブランド化につながった、と商品企画担当の小湊佳昌氏(50歳)。「ヴィーガン」とは肉類などのほか、卵・乳製品、ハチミツなど動物性食品を一切口にしない人のことを指すが、その言葉を商品名に冠したところに自信のほどがうかがえる。
さらに三育フーズはダニエルラボの第2弾として代替肉の臭みを消し、風味をアップさせる調味料「ニックポック」を昨年8月に発売。そのカギとなったのが「液体燻製技術」だ。共同開発者は同じく千葉県に拠点を置く㈱リオ(木更津市)。世界初のオーガニック認証燻製オリーブオイルを開発したほか、「液体を燻製する方法とその装置」の特許を持つ会社で、かけるだけで燻製風味になる調味料「かずさスモーク」でも注目を集めた。そんなリオの液体燻製技術を活用し、肉質を感じさせる「香り」を高め、半年から1年の歳月を経て完成にいたったという。また、今年4月にはレトルトのヴィーガンハンバーグを市場投入する計画だ。

食事だけでなく睡眠なども含めた「健康法」に沿った商品開発を目指す平尾社長
同社でもっとも人気が高い商品のひとつ「黒ゴマクリーム」の製造風景

現在、同社では小麦のグルテンをブロック肉状にしたグルテンミートや大豆が原料の野菜大豆バーグ、人気商品の黒ゴマクリームなどのペースト、グラノーラなどのシリアル製品、玄米ラーメンなどの麺類も販売している。
このような新しいブランドを立ち上げた背景、根底には「NEWSTART(ニュースタート)健康法」がある。これは英語の頭文字で「栄養」「運動」「水」「日光」「節制」「空気」「休息」「信頼」を軸に、「選択」「スマイル」「誠実さ・高潔さ」「ソーシャルサポート&サービス」の4Sを加えた概念であり、同社の平尾正弘社長(57歳)は「これからもニュースタート健康法に沿った商品を開発していきたい」と話している。HPでは純菜食、卵菜食、乳菜食などに関するレシピや健康に関するコラムも掲載しているので、一読してみるといいだろう。まさに健康の伝道師としての役割を担う元気企業である。