(上写真)AI電話自動応答・取り次ぎサービス「ミライAI」

近年、テレワークの増加によってオフィス内の人員が減り、電話応対に苦慮する企業が増えている。電話番のために誰かが出社しなければならず、従業員の間で不公平感が生じるケースも少なくない。そんな電話応対の効率化サービスを提供しているのが㈱ソフツーだ。

同社の鍾勝雄社長は中国出身。大学卒業後、中国で5年、日本で2年、通信システムのエンジニアとしてキャリアを重ね、2008年に同社を立ち上げてクラウド型コールセンターシステムサービス「BlueBean」の提供を開始した。
「BlueBean」は、パソコンと電話を連携させて顧客情報の管理を最適化できるのが特徴。たとえば、通販会社のカスタマーサポートセンターで導入した場合、電話相手のプロフィールや商品の購入履歴、過去の対応履歴などあらかじめ設定した内容が瞬時にパソコン画面に表示され、それらの情報を参照にしながらオペレーターは的確なサポートを提供できる。しかも「クラウドシステムを利用するため、面倒な工事や設備導入は一切不要。インターネット環境とパソコンがあれば、申し込みから5営業日以内に利用開始できる。複数拠点を一元管理することも可能で、大規模災害時などのBCP対策としても有効だ」と鍾社長。在宅オペレーターの状況もリアルタイムで確認でき、たとえば長時間、電話対応をしている新人オペレーターを発見したら、「ささやき機能」を使って遠隔でフォローすることも可能だ。

独自のクラウド型AI自動電話応答サービスを手掛ける鍾社長
「Bluebean」の利用イメージ

そして、BlueBeanで培った通信技術に「AI」を掛け合わせて誕生したのがAI電話自動応答・取り次ぎサービス「ミライAI」だ。Googleの音声技術をベースに独自開発したAIが発言内容を認識し、たとえば「営業時間は?」「駐車場はあるか?」といった簡単な質問には自動で回答。AIが答えられない問い合わせについては、担当者へ電話を取り次ぐ。さらに担当者が電話対応できない場合は、AIとの会話を相手や内容などの項目で整理し、メールやチャットで送信してくれる。担当者はその内容を参照して折り返し電話をすれば、スムーズに相手と話ができるという仕組みだ。「弊社では半年ほど前から使っているが、かなりの精度で発言内容を認識できて、取り次ぎ相手を間違えることもほとんどない。今年2月に正式リリースしたところ、地方の中小企業を中心に導入が広まっており、人手不足が深刻化しているホテル業や飲食業からの引き合いも多い」とのこと。
3月には米OpenAI社が提供する話題のAIチャットサービス「ChatGPT」との連携を開始。「ChatGPT」の技術要素を取り込むことで、より自然な会話ができるように「ミライAI」の改良をすすめている。「今のところ日本語、英語、中国語のみのだが、徐々に対応言語を増やしていきたい。自動翻訳機能も搭載して、観光業やホテル業のインバウンド対応をサポートしていく」と鍾社長は先を見据える。