(上写真)鮮明な立体感で現場を再現する3D画像。約1億点もの点の集合体を3次元化したもので、各点にはXYZ座標が付されている

2014年にラジコンカーによる狭小断面の水路内面調査を実施したことが、㈱コアシステムの転機となった。以来、同社は「遠隔操作」にカジを切り、高性能カメラ搭載のドローンによる空撮測量も実現。建設現場などの測量・設計技術も積極的に取り入れ、「3Dレーザースキャナ等による地上での測量」「リモコンボートによる水中の深浅測量」「ドローンによる空撮調査」という陸・海・空の測量技術にもチャレンジ。さらに、3次元設計データの作成などの技術と融合し、人が入れなかった場所の調査・測量・設計を可能にした。
それにしても、なぜ同社はリモート測量に着目にしたのか。「9年前に九州の業者が黒部川の測量をドローンでやっていたことを知ったこと」がキッカケだったと佐々木和明社長(58歳)、これからは従来、困難とされてきた写真測量が実現するのではないかと直感したそうだ。こうして同社は当時まだめずらしかったドローン事業に参入し、飛行練習や写真測量のノウハウを習得。すると事業を立ち上げてほどなくして、関西電力から黒部ダム上空からの測量を受注。ドローンのおかげで、従来であれば、縦型円柱のサージタンク内部の点検にあたっては、足場を組んできたが、それが不要になり、橋梁の錆や亀裂の状況調査も可能になったという。

「PC修理を通じて測量の仕事を受注するなど相乗効果にもたしかな手応えがある」と話す佐々木社長
水路をはじめとする狭小断面を遠隔操作で調査・点検する

その後もリモート測量事業は堅調で、最近では富山中小企業チャレンジファンド事業を活用して、山岳地での鉄管の内部を調査する「水圧鉄管点検ロボ」を開発して昨年から本格稼働。また「ダム湖などの水中を3次元的に測量できないかという北陸電力からの案件」に対応するため、衛星利用測位システム(GPS)・ソナー搭載の自立航行リモコンボートを導入するなど、ますます調査・測量のあらたな可能性を切り拓いている。
こうした遠隔リモート事業の一方で、同社はIT支援にも注力している。会社設立当初、建設業界で必要なCAD図面のデータ化を発端に支援業務を開始して以降、PC修理をはじめとした幅広いITサポートを手掛けているのだ。「この事業の売り上げは年間1000万円程度と横バイだが、実はここに測量部門の売り上げアップのシーズ(種)がある」と佐々木社長。たとえば「パソコンを修理した農家から土地測量依頼が舞い込むなどのシナジーがあらわれている」そうだ。
現在、同社は空撮映像や企業PV、観光PR動画などの映像部門、地図上へのデータ保存などのシステム制作に注力しているが、いずれも経営理念の「喜ばれ、前進する」に根差したものだ。幹が太くなるほどに枝ぶりが映え、花が咲く。同社の経営からはそんなイメージが湧いてくる。