「失われた30年」といわれる停滞がつづく日本。近年ではコロナ禍による経済活動の縮小やロシア・ウクライナ戦争を背景とした原材料費高騰、そして経営者の高齢化による事業承継問題と地場産業・中小企業に対する逆風はさらに強まっている。こうしたなか、注目したいのが日本の「百年商品」、商品名だけに止まらず、100年間も同じデザイン、同じフォルム、同じ質を継承しているのだ。

企画から発売までを担うマーチャンダイザーのいなかった100年前に、よくもこのようなロングセラー商品を開発できたものだ、とあらためてその先見力にビックリである。はたして、今日の売れ筋のコンビニ商品や花形商品、はたまた地域の特産品や地域活性化商品、GI(地理的表示)商品にそれだけのエネルギーや次代を読む先見性に優れた商品はあるのだろうか。そして、100年以上の超ロングセラー商品を手掛ける企業は、「メンターム」の近江兄弟社(滋賀県近江八幡市)しかり、地域とのつながりを密接にしながら、工夫を凝らしていくつもの困難を乗り越えてきた。その悪戦苦闘の歩みのなかには、現代のこの苦境を生き延びる知恵、〝産業栽培〟のノウハウがタップリ詰まっている。そのあたりに日本経済の起死回生の秘訣がある。今こそ、売り上げが低迷し商品開発に苦悩する企業は先人たちが培ってきた日本が世界に誇る「百年商品」に学ぶべきではないか。

そこで月刊『コロンブス』2023年7月号ではこの「百年商品」を大特集。百年商品を手掛けるメーカーを多数取材し紹介した(下記参照)。また、百年商品をはじめとした超ロングセラー商品の人気のポイントと動向について、商品ジャーナリストとして活躍する北村森氏にもインタビュー。ぜひご一読ください!