IT企業のECBB㈱が近年、IT機器関連のモノづくりに力を入れている。なかでもスマートフォンやタブレットを指1本で楽に持てるケース「パルモ」は2015年の発売以来、計80万個販売する大ヒット商品に。これはスマートフォンやタブレットを四隅で包み込むシリコン製のケースで、右手でも左手でも、縦持ちでも横持ちでもOKという使いやすさに加え、日本のグッドデザイン賞のほか、世界的に権威のあるドイツのレッドドットデザインアワードを受賞、さらには強度を保証する米軍ミリタリー規格も取得したことで支持を得たようだ。
松浦康裕CEOは「圧倒的な使い勝手とデザイン性の高さがこの結果につながったのではないか」と推測している。 同社が手掛けるもうひとつの主力製品は、容器入りの飲み物とスマートフォンを一体的に収められるポーチ「#2GO(トゥーゴー)スマドリ」だ。肩から提げられるほか、キャリーバッグの取っ手にも付けられるというスグレモノ。傾いても飲み物がこぼれない構造になっており、小物も収納できる。18年に売り出してから3回の改良を重ね、シリーズ累計で3万8000個を出荷している。
短期間にこれほどの売り上げを達成できた理由はほかでもない、突出した販売戦略にあった。「クラウドファンディングを皮切りにテレビショッピング、そしてEC(電子商取引)とさまざまな販売手法を取り入れてきた」と松浦CEO。さらに同社は新しい試みとして、オンライン販売に加えて、実店舗によるオフライン販売にも着手し、家電量販店の店頭で販売したり、早稲田大学と提携して大学公認の#2GOを売り出すなど、販路のバリエーションを拡大中だ。おかげで「#2GOの売れ行きが飛躍的に伸びた。オンライン販売だけだった時期の売り上げは4年間で1万5000個だったが、オフライン販売を取り入れてからは1年間で2万3000個ほど出荷できている」という。早稲田大学との提携では、売り上げの半分を奨学金制度に寄付する社会貢献も行っている。
11年には香港に進出し、それ年間、松浦CEOは香港と中国に滞在し、その間に新規事業を視野に入れ、モノづくりをはじめたという。以来、同社は「これまでにない商品開発を追求する」という信条の下、独自性に富む商品を世に送り出している。今やこれらの分野は前出のホームページ制作やウェブシステム、印刷通販システムといったIT事業をしのぐほどの売り上げとなっている。松浦CEOは「国内はもちろん、海外のどの国に行っても、当社の製品を見かけるようにしたい」と夢を描いている。
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