遺構が示す生活痕跡紹介/市教委が現地説明会開催

宮古島市教育委員会は10月7日、他の地域から島尻集落に移住してきた人々の先祖が祭られているといわれる「ウイキャームトゥ」の発掘調査の現地説明会を、島尻元島遺構構内で行った。地域住民や研究者、関心のある市民らが多数訪れ、16世紀ごろから同集落で人々が生活し、この場所が祭場して使用されていたことなどを物語る遺構や遺物についての説明に聞き入った。
発掘された遺物や掘立柱建物跡、石列遺構、円形遺構などについて市教委生涯学習振興課主任主事の久貝春陽さんが紹介し、この場所が祭場として使われて、建物も何度か建て替えられてきた可能性があることなどが説明された。
発掘調査が実施された場所は、島尻集落の年中祭場で使用される祭場に当たり、聖域として信仰される場所。島尻集落の元島(前の集落)に当たる。
ウイキャームトゥは戦前、現在の島尻集落内にあったが、諸事情により今の元島内へ移転したとされている。
今回の調査は、島尻自治会によるウィキャームトゥの建て替え工事に伴い今年9月に発掘調査が実施された。
同地域は、地山面まで造成が行われていたが、地山面において柱穴や石列などの遺構が検出された。
柱穴の一部は、規則的な配列から建物跡のプランが複数確認されていることから、市教委では今回の調査結果をウィキャームトゥの建物の変遷を考える上で重要な成果と位置付けている。
調査結果について、市教委は「島尻地域の住民や多くの市民に公開することで市の歴史に触れ、学ぶ機会とするとともに、開発に伴う発掘調査の必要性についても周知していきたい」としている。
宮良保自治会長は「私たちの先祖が住んでいた場所であり、昔の土器なども出て感激している。当時はいろいろ大変な思いをしながら生活をして、世代をつないできたと思うと感慨深い」と話した。
前集落跡とされる島尻元島は、島尻漁港の北東に突き出す丘陵部分に位置し、丘陵周りには石積みの遺構が残されており、南東にはクバマと呼ばれ、パーントゥの面が流れ着いたと伝わる砂浜が広がっている。

宮古毎日新聞 2023年10月8日