平成29年から始まった須賀川市と長野市長沼地域の“二つの長沼”交流で、里子に出された「奇跡のあじさい」が7年ぶりに藤沼湖に里帰り移植された。大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい 2023「奇跡のあじさい里帰りふれあい交流会」が10月19日、20日の両日、藤沼湖自然公園で開かれた。
戦国時代末期から安土桃山時代にかけて、現在の長野市から会津地方を治めた上杉景勝配下、島津氏が両地域の長沼城城主であったことを縁に平成29年から“二つの長沼”交流が始まった。
同年秋に須賀川の長沼有志が長野市を訪れ、藤沼湖の「奇跡のあじさい」と、須賀川の花である牡丹の株を記念植樹した。
その後も両地域の住民同士の訪問交流が活発に行われていたが、令和元年東日本台風で長野市長沼地域を流れる千曲川堤防が大規模決壊し、地域のほとんどが水害被害に見舞われ、奇跡のあじさいと牡丹のほとんどが流出してしまった。
1株のあじさいが奇跡的に被害を免れ、長野市では「奇跡のあじさい」の愛称で親しまれ、挿し木を重ねて株を増やし、今回の里帰りにつながった。
今回、長野市からは“二つの長沼”交流の中心となった、どんどこ座・芙蓉の会から約40人が須賀川を訪れ、19日は藤沼湖畔に植樹記念の標柱を立て、奇跡の「奇跡のあじさい」5株を植樹した。長野冬季五輪で使われた善光寺太鼓の梵鐘(通称鎮魂・復幸の鐘)も持参、植樹後に鐘を撞いて黙とうし、震災犠牲者に哀悼の意を表した。
一行は震災で決壊して貯水150万㌧が流出し、現在は復旧工事が完了した藤沼ダム本堤現場を視察し、藤沼温泉やまゆり荘で地元産新そばを味わった。
20日は長沼農村環境改善センターで交流ふれあいコンサートを開き、地元長沼の大正琴ゆり・千の会、長野市のどんどこ座・芙蓉の会、長沼こまち太鼓、三登山太鼓、奇跡のあじさいをテーマに創作した「あじさい賛歌」を藤居ジュンコさんが披露した。

(あぶくま時報   2023年10月20日)