東京都心からのアクセスが良く、豊かな自然と特産品に満ち溢れた東京多摩地域。本コーナーでは、東京都商工会連合会 多摩観光推進協議会と連携し、新しい多摩の観光の魅力をお伝えしていく。今回のテーマは東京多摩の「果物」。都市農業の先進地ならではの個性豊かな果物栽培の取り組みにスポットを当てていきたい。
まちだシルクメロンを使用したお菓子が大人気‼(写真提供:町田商工会議所)
甘酸っぱい風味とさわやかな南国の香りが楽しめる浜中園のパッションフルーツ
見事なパッションフルーツがズラリと整列
ひと粒が大きくてみずみずしい久安のシャインマスカット

東京多摩地域は江戸時代から大消費地大江戸をマーケットに都市農業の先進地として生きてきた。事実、東京都の農業産出額の大部分はこの多摩から生み出されており、2021年の東京都の調査データによると、東京多摩地域の農業産出額は東京都全体74.4㌫を占めるという。その農産物のうち、果物の占める割合は大で、ラインアップが実に充実している。春にはイチゴ、夏にはブルーベリー、秋にはブドウやナシ、キウイフルーツ、そして冬にはミカンなど、季節ごとに異なる果物を楽しむことができ、通年、農園観光や果物狩りを楽しめるのが多摩の大きな魅力となっている。最近ではパッションフルーツやレモンなど、新しい果物の栽培もはじまっており、農業のさらなる発展が期待されている。ではさっそく、とくに個性的な農園を3軒紹介したい。

メロンの新境地を拓くまちだシルク農園

まず、紹介するのは㈱まちだシルク農園。系列会社の工業用エアーノズルメーカー、大浩研熱㈱の技術を使い「まちだシルクメロン」を水耕栽培している。そもそも大浩研熱㈱は、2009年に農業に乗り出し、町田商工会議所や志が同じ10企業とともに「まちだシルクメロン」の水耕栽培をはじめた。自社製造のエアーノズル技術を応用して生み出した「町田式新農法」で、栽培槽の隅々にまでシッカリ養液を行き渡らせるという農法。通常だと1株から1~6個の実が穫れるが、この農法だと約30~40個も穫れるという。糖度も一般のメロンが12~14度なのに対して、まちだシルクメロンは平均15~16度、最高で21度と圧倒的。このメロンを口にした人は「ひと口でメロンの概念が変わった」と驚く。

上質なシルク製品を思わせるなめらかさとみずみずしさ
事業について熱い思いを語る専務取締役の松浦真氏
芳醇な香りと極上の甘み、至高のメロン‼
充実の最新設備で町田式水耕栽培を実現

情熱の果実、パッションフルーツの魅力 浜中園

つぎに紹介するのは2010年頃からパッションフルーツの栽培に注力している浜中園。現在は4代目の浜中俊夫氏(50歳)が経営している。力を入れているパッションフルーツの栽培は「手作業での受粉や水やりを慎重に定期的に行う」など、地道な努力を重ねている。その努力のかいあって、年間の収穫量は約1.5㌧にもなるという。
同園は八王子パッションフルーツ生産組合に所属し、このパッションフルーツを市の名産品として売り出していくための活動に尽力している。販売はホームページでの直販やECサイトのポケットマルシェ、市内の道の駅や農協の直販店でも行っており、消費者からも大好評とのこと。「香りが良く、上品な甘さと酸味で一度口にするとやみつきになる」という評判、ぜひご賞味あれ。

高貴な香り・上品な甘さと酸味‼ 果汁入りジュースにしてもおいしい‼
パッションフルーツへの情熱を語る浜中俊夫氏
八王子市の名産品として売り出そうと奮闘中‼ お客さんからも好評
大人気パッションフルーツプレミアムジャム

収穫の瞬間を大切に 果樹園 久安

もう1軒紹介したいのが、こだわりの果物を多種栽培している果樹園 久安。同園の設立は1855年頃と歴史が古く、果物の栽培をはじめたのは1960年代から。現在ではブドウ、ナシ、キウイの3種類を栽培しており、とくにブドウは15種類もの品種を手掛けている。なかでも、農研機構が開発したシャインマスカットが業界で注目を集め、さっそく本格的な栽培にチャレンジしている。今ではこのシャインマスカットが年間7㌧の収穫量を誇る同園の人気商品となっている。そんな同園のこだわりは「ちょうどいい具合に熟した果物を収穫し、完熟品を味わってもらうことだ」と8代目の中村竜太氏(40歳)。販売方法はほぼ100㌫直販で、農園内の店舗を訪れるリピーターも多い。首都圏からわずか30分~1時間でアクセスできる地にありながら、多摩はまさに果物王国。春夏秋冬、何かしらの果物が旬を迎えているので、ぜひおいしい果物を
味わいに出掛けてみてほしい。

大粒でさわやかな味わい‼ 芳醇なマスカット香が最高のひと粒
「高品質なフルーツを東京で生産したい」と話す中村竜太氏
おいしいブドウを作るためのノウハウがつまった久安のぶどう畑
千客万来‼ 農園内の直販は大繫盛

今回の記事については、東方通信社グループの YouTubeチャンネル『コロンブスTV』の番組「東京TAMAらん旅図鑑」で関連動画を近日公開!乞うご期待。