■DXを機器で支える急成長の事業を推進
旧石器文化を日本ではじめて紹介し、全国からたくさんの人が訪れる石の博物館、香芝市二上山博物館(奈良県)が2024年2月、AR(拡張現実)や3Dホログラム、プロジェクションマッピングなどを駆使し、「見える」から「魅せる」博物館に変身する。その空間演出を担うのが㈱ヒロホールディングスだ。「古都・奈良の企業として新しい技術で、地域のさまざまな困りごとを解決したい」という意気込みでこの仕事を引き受けた、と話すのは向山孝弘社長兼CEO(59歳)。
同社の主力事業はモバイルショップ(8店舗)の奈良エリアでの運営とDX関連のデジタル商材を扱うZeta(ゼータ)事業など。特にゼータ事業は19年の事業参入からわずか4年で業績が急拡大しており、DX関連機器の販売だけでなく、今や冒頭で述べたような空間演出の分野にも進出。ある信用金庫では調光ガラスを採用した防音設備から、仮想窓風景や巨大水槽、魚が泳ぐ水面などの映像を制作し、デジタルサイネージ(電子看板)に映し出す演出を行った。また、某ホテルの入口には無煤・無煙のバイオエタノール暖炉を設置して温かみを演出。これらの空間演出が業界で話題になっている。
■ビジネスシーンで活用できる最新機器を開発
向山社長は「このほかにもテレワーク空間を実現するため、天井設置マイクが話者を自動追尾するオンライン会議用シーリングマイク、遠隔操作でビデオチャットができる車輪走行型アバターロボット『Double3』などの最新機器を揃えている」と話す。最近では受付業務で活躍するAI映像対話システムや不審行動を解析・検知し、特定人物をスマホに通知するAI防犯カメラシステムなどの販売にも力を入れており、後者はすでに大手スーパーとの商談がすすんでいるそうだ。
■機器開発は人材育成に発展、社会の困りごと解消へ
一方、古都の企業として「職人の技術、魂を100年先まで残す」ため、奈良や浅草の職人たちと連携し、革小物を中心としたRebonally(リボナリー)ブランドも展開している。世界シェア97%を誇るクリーニングクロス「キョンセーム」などが看板商品で、そのリピート率のすごさに自身もビックリしているという。
こうしたアイデアを実現するため、向山社長は人材育成にも注力、「中国の古典、四書五経などを学び、人間力を磨いてもらうセミナーなども実施している」そうだ。
目下のテーマは過疎地対策。「自治体や米国企業などと連携し、過疎地における店舗の開設や運営の研究をすすめている」という。これからも社会の困りごと解消に全力投球していくとしている。
㈱ヒロホールディングス
奈良県香芝市瓦口2315香芝木材壱番館ビル3F TEL:0745-71-6661
設立:1990年 従業員:87名 資本金:5000万円
野原健司さん (公財)奈良県地域産業振興センター 金融・経営支援課 係長
太鼓判押します!
奈良県下では18 年ぶりとなる新規上場をはたした(株)ヒロホールディングス。急速にすすむDX 分野で同社の「Zeta(ゼータ)」事業が注目を集めています。とくに行動検知AI による画期的な「防犯・防火システム」やフォトグラメトリ―(3DCG)など、文化財などをデジタル
アーカイブで保存・活用する技術で成功を収めています。奈良の豊かな歴史や文化を守り、地域社会に貢献する同社の取り組みに期待が寄せられています。
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