アスリートに対するサプリメント開発というのは、配慮すべきことが多いジャンルとして知られています。それは必要とされる栄養素の摂取や、特定の効果が期待されるサプリメントで競技力の向上を図る重要な目的がある一方で、過剰摂取やドーピング禁止物質の摂取を防がなければならないというリスク回避も重要だからです。製薬会社をはじめとする企業が、アスリートの腸内細菌を解析したり、個人の体質や状態などにカスタマイズされたサプリメントの提案を行っています。アスリート専用というアプローチから、健康志向やスポーツを愛好する人に対しても、コンディション向上や健康増進などのサプリメントの可能性は広がっています。元気企業の取り組みは製造に限らず、関連技術も磨くことで、その可能性を広げ続けていることに価値があります。

■アスリートファーストなサプリメント開発

WBCやバスケットボール、ラグビーのW杯など、昨年はスポーツ界の活躍ぶりが印象的な1年だったが、その陰にはアスリートたちを支えるサプリメントがある。紹介するテクノサイエンス㈱が開発しているのは、アミノ酸結合によるペプチド技術を土台にしたサプリメント。国内外の企業にOEM(相手先ブランドによる生産)供給も行っており、最近は高濃縮技術とゼリー状製剤であらたなマーケットを獲得している。

大手食品メーカーで長年にわたって医薬品開発に携わってきた樫本和久社長(69歳)はペプチド研究のパイオニア、透析患者用のたんぱく製剤を医療機器メーカーと共同開発した後にサプリメント市場に参入した。そして「透析患者などと同様、アスリートもサプリの過剰摂取は腎臓や肝臓の機能に影響が出る」と警鐘を鳴らし、サプリメントの開発に専念してきた。

「飲みやすい形で提供することでリピーターが多くなった」と話す樫本社長(右から2人目)

■高い効果を支える厳しい基準と製造技術

開発にあたっては医薬品適正レベルの厳正基準を独自に設け、原材料の選択や配合処方、パッケージ選択の企画・設計、OEM製造、販売支援などを行っている。

開発商品には、寝たきりによる褥瘡(じょくそう)治癒に必要なアルギニンや素早く栄養補給できるグルタミンペプチドのほか、脂質代謝を促すカルチニンをゼリー状にしたものなどがあり、格闘家や著名なトップアスリートに愛用者が多いそうだ。

だが、一方で製品開発にはさまざまなハードルがある。たとえば「ホエイプロテイン(牛乳由来のたんぱく質)は20種のアミノ酸を含むが、筋肉生成に不要な成分もある」と樫本社長。そこで同社では、摂取量を抑制できる高濃縮技術を活用し、「ホエイプロテイン30グラムと同じ効果が、7倍に濃縮したプロテイン(仮称)数グラムで得られるようにした」という。

アルギニンなどのサプリは格闘家やプロスポーツ選手らに愛用者が多い

■独自技術が将来性につながり、商品の実力が顧客を呼ぶ

また、独自のコーティング技術も最大限に活用している。ソフトカプセルを用いて、筋肉のむくみやコリを穏やかにするたんぱく質分解酵素配合のサプリを胃溶性から腸溶性に改良し、胃酸によって活性が失われることを阻止することに成功した。しかも、このカプセルは植物性ゼラチン被膜を使っているためハラルでも服用可能だという。さらに樫本社長は「このカプセルには点滴注射と同じ効果があり、在宅医療にも役立てることができる」と将来性を見込む。

同社に営業部門はないが、「リピーターが多く、商品自体が営業マンの役割を担っている」と樫本社長。目指すは「企業の利益に貢献し、消費者の健康やアスリートのパフォーマンスを最大限サポートできる製品づくり」、その目標を完遂するために着実に歩みつづけている。

少数精鋭の城である本社。営業マンは商品そのものという
社長の自社採点

峯岸伸治さん ヴュンシェ皮膚再生研究所 代表取締役

太鼓判押します!

樫本社長とのご縁は約8 年前、弊社が「防腐剤を一切使用しないクレンジングが製造できないか」と無謀な相談を持ち掛けたのがキッカケでした。この無理難題に誠心誠意対応し解決していただき、縁を深め、コロナ禍では同社の届けたいところに届けたい成分を届ける技術と、製品に対する誠実な想いに惚れ込み、新製品を開発・製造していただきました。私は、同社の技術は世界一だと思いますので、今後もますますの活躍を期待しております。