2月22日㈭の『奄美新聞』に掲載された「2023年度奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議」(環境省など主催)の記事に注目、この会議で安田壮平奄美市長などが触れた宿泊税導入に向けた取り組みについてさらに深堀り取材してみた。

奄美市では「世界自然遺産に関する新たな財源創設検討委員会」を立ち上げ、環境保全などの行政需要に恒久的に対応するための財源確保について検討をすすめている。これまで、観光などで鹿児島県奄美市を訪れる来島者を対象とした法定外目的税や協力金の導入を協議してきたが、2月27 日に開かれた検討会では、「宿泊税」導入のための制度設計について意見交換が行われた。会議の冒頭では、京都市税制課でのヒアリング内容を報告。京都市で宿泊税を導入したのは2018年からで、検討会の立ち上げから条例の制定、課税開始までわずか3年で成し遂げたという。

近年のインバウンド増による違法民泊の取り締まりや文化財保護への要望、宿泊関係団体からの協力的な意見が多かったことなどがスピード感につながったと説明。次回検討会も宿泊税を中心とした制度設計の議論を行い、その後、実際に徴収・納税に協力してもらう宿泊関係団体にヒアリングを行うとしている。「各団体から合意を得ることが今後の課題」なので「団体にとってのメリットを考えつつ、丁ねいな調整を行っていきたい」と奄美市世界自然遺産課の担当者は話している。

環境保全と観光振興を柱とし、奄美大島の価値を高める「宿泊税」活用の議論が活発化しそうだ。