震災後、全国各地さまざまな企業が被災地支援に取り組んできたが、なかでも支援の展開がスピーディだった企業がある。福岡県糸島市の九星飲料工業㈱だ。1月18日、糸島市からの要請を受け、地元の九星飲料工業㈱が能登半島地震の被災地・石川県に500mlのペットボトルの緑茶9600本と、同じく600mlの麦茶7200本、合わせて1万6800本を無償で提供した。義援物資は市内運送会社の㈱イトキューがトラックで無償輸送。翌19日には七尾市の中部低温倉庫に、糸島市から
早期復興を祈る心とともに届けられた。

聞けば、同社によるこうした迅速かつ現地のニーズを汲み取った被災地支援の裏には、社会貢献への熱い想いがある。同社は1907年に創業した老舗企業で、創業者・故仲原志平会長の経営理念に基づきさまざまな社会貢献活動に従事。これま
で、東日本大震災や熊本地震の被災地への支援、ウクライナ支援などの義援金のほか、地域での清掃活動やフードバンク、糸島高等学校の奨学金設立といった地域貢献にも力を注いできた。そして、こうした活動が高じて2018年には糸島市と災害時に飲料水を提供する災害供給協定を締結した。

地震大国ニッポン。平時からこのような官民の連携体制を構築し、自分たちの地域のみならず、全国各地の被災地支援に取り組むこと。それが持続可能な地域社会をつくりあげるポイントなのではないか。

糸島新聞社・記事
(2024年1月29日  糸島新聞社)