一口で食べれば分かる、「早摘み生もずく」の美味しさ

もずく生産量が全国一の沖縄県で、伊是名島(伊是名村)産のもずくを世に広めたいと奮闘しているちゅらゆーな㈱。伊是名島は近藤ゆうな社長(53歳)の父の出身地であることから幼い頃からもずくに食べ慣れ、そのおいしさに惚れ込み、販売会社の同社を興したという。

同社のもずくは完熟前に早摘みするのが最大のポイント。完熟前だとみずみずしくてプリプリし、ぬめりも強く、近藤社長は「もっともおいしい段階」と太鼓判を押す。完熟まで待てばもっと太くなり、歩留まりが高いのだが、ぬめりが落ちて旨味が落ちてしまうという。実は地元漁師は出荷用には完熟モノを出し、自家消費では完熟前のもずくを食べているそうだ。早摘みもずくは水揚げしたら異物を洗い流すだけで添加物は使わず、真空冷凍して出荷する。大都市圏の高級志向の小売店などで販売しているほか、東京・有楽町の沖縄県のアンテナショップで毎月10日間、量り売りのイベントを開くなど、普及に努めている。年間の出荷量は100トンを上回り、売り上げは堅調に推移している。一般のもずくは塩漬けするため水分が抜け、店頭で売るときにふたたび水で戻して水分を補給するのに対し、同社のもずくはいわゆる「生」の状態。近藤社長は「ダマされたと思って一度食べてほしい。一般のもずくとの違いが一口でわかる」と胸を張る。

「早摘み生もずく」をPR するポスター
水揚げされたばかりの早摘み生もずく

完熟もずくよりも高価買い取りで漁師の意欲高める

同社の経営理念は伊是名島産のブランドにこだわる、この1点だ。「沖縄にはもずくの産地が数多くあるが、このもずくはタネも生育環境も異なる。沖縄産とひと括りにせず、伊是名島産ブランドとして売っていきたい」と話す。早摘み生もずくのブランド化は伊是名漁協と協業ですすめ、村も「伊是名をもずくの島にしたい」としている。

もちろん「早摘みもずくを納品する際には、小売店や飲食店に伊是名島産を明示してもらうことにしているほか、「地元漁師には意欲をもって生産に励んでほしい」という思いから、完熟もずくより高い価格で買い取っているそうだ。そうした努力が実って早摘み生もずくは全漁連が「本当においしい魚介類」、「プライドフィッシュ」としてPR、昨年、食関係メディアが主宰する地域食品産業貢献賞も受賞した。最近はもずくキムチやもずくタレなどの関連商品も開発し、事業拡大に弾みがついている。「伊是名島のもずくのおいしさを国内のみならず、海外の人にも知ってほしい、その一念で仕事をしている」と話す近藤社長、〝もずく愛〟でいっぱいだ。

「伊是名のもずくを世に広めたい」と語る近藤社長。伊是名村の観光大使でもある
関連商品も広がり、ラインアップも充実

岩崎忠之さん
㈱信濃屋食品

ちゅらゆーなのもずくは、テロワールを最大限に生かし、完熟前に早摘みすることと、シッカリとした処理にこだわったほかではない逸品です。年間を通して提供できるので、当社が東京・神奈川を中心に展開している食のセレクトショップ「信濃屋」でも鮮魚部門で積極的に PRしています。とくにオススメなのが、木桶仕込みの醤油などをチョッとつけたり、溶けないので鍋に入れたりする食べ方。ぜひお試しください。