独自性のある健康食で支持をあつめるカフェ

18年前の開業当初は認知度も低かった「大豆ミート」。この新食材にいちはやく着目し、肉や魚を使わない健康食を提供しているのがCafé Fleur(カフェフラワー)だ。南仏プロヴァンスを思わせるシャレた雰囲気も手伝って、中部・近畿の都市はもちろん、関東や伊勢神宮などの旅ルートで訪れるお客も多いという。

なかでも人気なのはキーマカレー。挽き肉の代わりに大豆ミートが使用されているのだが、「本当に肉を使っていないのか」と疑ってしまうほど。深い旨みがあって絶品と評判だ。

そこには店主の福村英利子さん(58歳)のこだわりがギッシリと詰まっている。そもそも、大豆ミートとは油分を絞った大豆に熱や圧力を加えて乾燥させたもので、高タンパク・低脂肪なうえにミネラルや食物繊維を豊富に含むことで知られるが、福村さんはそこに独自の工夫を凝らすことで深い旨みを引き出しているという。おかげで、ベジタリアンやヴィーガンといった菜食主義の人向けだけではなく、健康志向のお客に大人気だそうだ。

森のなかに佇む建物の風景はまるでジブリ映画の世界
カフェ店内は南仏プロヴァンスの雰囲気に包まれている

メニューと席数を絞って営業再開、料理教室で新たな挑戦

ところで、福村さんが健康食にこだわりはじめた背景には自身の経験がある。「小学校の養護教員だった頃に仕事と子育てに追われて体調を崩してしまった。そんな私を救ってくれたのが野菜や豆腐を中心とした健康食だった」と福村さん。その経験をもとに精進料理をベースに、大豆ミートや豆乳を使ったメニューを開発し、カフェフラワーを開業したという。コロナ禍ではネット販売に参入し、焼鳥セットやハンバーグ、竜田揚げなど冷凍食品約20種を販売し順調に売り上げてきた。しかし、今年はじめの3カ月間、カフェフラワーは休業を余儀なくされた。「それまでは50種以上のメニューを用意し、週替わりのランチは昼の3時間だけで100食以上が出ていた。しかし、頑張りすぎたせいか、あるとき、プツリと緊張の糸が切れてしまった」と福村さん。

それでももう一度、と思ったのはこの4月から。再開を決意し、店舗メニューを10種程度に絞ったほか、座席数を50から25に半減し、カフェ2階と別棟は料理教室もできるキッチン・アトリエ、ギャラリーや展示販売向けのショップ・アトリエとして利用することに。

そのほか、テイクアウト可能な冷凍総菜や豆乳プリン、豆乳ドーナツもある。「カフェではおいしいコーヒーと食事、音楽で、穏やかな時間をすごしてほしい」と話す福村さん。今年中には料理教室を開いて、「健康食をさらに広めたい」とあらたな挑戦に意欲を燃やしている。

「健康によいものをつくり、喜んでもらいたい」という福村さん
冷凍食品としてもセット販売している大豆ミートのキーマカレー

立道和久さん
三重県よろず支援拠点くわなサテライト コーディネーター

町のお店が繁盛するためには、なんといっても「尖る」ことが必要です。他店にはない目立った特色、際立った特徴を持つことがお店の強みになります。カフェフラワーはまさに尖ったお店で、国内はもちろんのこと、海外からも噂を聞きつけた客がやってくるほどです。それだけ味わう価値のあるおいしいベジタリアンフードなので、ぜひ多くの人たちに試してほしいと思います。遠方にお住まいの方はまずはネットショップを覗いてみるのがオススメです。