化学調味料を使わない素材の味が、厚い支持
富山県南砺市に本社を置く㈱ 丸米製菓は1927年の創業以来、1世紀近くにわたり米菓製造に打ち込んできた。初代・岩木米蔵の手作りの味を再現した特注の「かきもち製造機」を50年以上も使いつづけ、目先の「効率」は度外視して「おいしさ・品質」を何より大切する一本、筋の通ったメーカーである。
そんな同社の看板商品は〝富山湾の宝石〟と称されるしろえびを使った「しろえびあられ」。国産もち米100%使用で、本社工場の地下100メートルから汲み上げた深層伏流水を用いている。化学調味料は一切使わず、素材本来の味で勝負。噛めば、米の甘味としろえびの香りが口中に広がる至極の逸品だ。
このほか、丸大豆醤油味と刻み海苔を振りかけた白醤油味の2種のあられをミックスした「小雪」、塩分不使用で極限まで素材の味を引き出した「素顔」など、多数の商品を展開。北陸や関東圏のスーパーを中心に卸してきたが、4年ほど前から海外販路の拡大にも着手した。そのキッカケについて、4代目候補で営業担当の岩木陵氏は「加工食品の展示会に出展したところ、多くの海外バイヤーから『輸出できないか』と話を持ちかけられた。ちょうどコロナ禍の影響で売り上げが減少していたこともあって、挑戦してみることにした」という。しかし、話をすすめていくと賞味期限の短さがネックに。「それまで国内向けの商品は120日程度の賞味期限だったが、海外輸出となると船舶輸送で1~2カ月余計にかかってしまうため、最低でも180日の賞味期限が求められた」という。この課題を受け、さっそく岩木氏は改善策に全力投球。
「かきもちはもともと水分が少ないため腐敗には強いが、問題は湿気てしまうこと。そこで水分を通しにくい厚手のアルミをパッケージに採用するなどして、乾燥状態を長く保てるようにした」という。これにより賞味期限300日を達成。中国、台湾、香港に加え、オーストラリアやアメリカといった遠方の国への輸出も実現した。
日本の伝統食を世界に広める!!
現在は「しろえびあられ」と「小雪」の2商品のみを海外展開しているが、今年の11月には新商品の「ザラメ醤油あられ」を投入予定だ。「濃厚醤油とたまり醤油を2度掛けしてザラメをまぶしたかきもちで、甘い米菓に馴染みのある台湾を中心にニーズがあるのではないかと期待している」と岩木氏。
「今後も海外の反応を見ながら商品ラインアップを拡充し、輸出地域も増やしていきたい。日本の伝統食を世界に広めながら、売り上げアップを実現していく」と目を輝かせる。

(株)丸米製菓
富山県南砺市高宮1380 TEL:0763-52-2525
設立:1965年 従業員:45名 資本金:4900万円
HP:http://maru-yonezo.com/

槻尾 凌さん
富山県新世紀産業機構
㈱丸米製菓は国産のもち米を主原料とし、化学調味料を一切使用せず、素材本来の味を活かした安心・安全な米菓を製造・販売しています。とくに「しろえびあられ」は白えびの風味とあっさりとした塩味のバランスが絶妙で富山土産として人気です。これまで同社は土産物の開発や展示会・商談会への参加など、積極的な販路開拓をすすめており、今後もさらなる拡大を目指しています。同社の商品が海外でも人気となることを期待しています。

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