脱炭素社会の実現に向けて水素エネルギーへの期待が高まるなか、九州大学水素エネルギー国際研究センターはこの9月に福岡・糸島半島で開かれた音楽フェスの会場で、燃料電池自動車(FCV)による発電のデモンストレーションを行ない、水素エネルギーの可能性を来場者にアピールした。大学などが所有するFCVを会場に展示し、FCVが水素から電気をつくる「走る発電機」の特性を生かして発電、会場で公開収録された地元ラジオ局の番組を制作するための電源を供給した。

番組には同センターの西原正通教授らも出演し、水素エネルギーの利点について説明した。FCVの燃料である水素は同市の下水から製造されたものと同大学の水素ステーションで再生可能エネルギーから作られたものを活用しており、環境にやさしい水素を利用している。

フェスへの参加は2018、19、23 年につづき4回目。これまでもFCVによる発電でラジオの公開番組のほか、会場内の店舗への電力供給などを行なってきた。同大学はキャンパスを糸島半島の伊都地区に移転したのを機に約20年前に学内に水素プロジェクトを立ち上げ、化石燃料に代わる水素エネルギーが導く脱炭素社会の実現に向けて研究開発と情報発信を重ねてきた。フェスは今年で幕を閉じ、会場でのデモンストレーションもひと区切りつくが、西原教授は「これからも水素エネルギーをアピールできる機会を積極的につくっていく。ほかの再生可能エネルギーや蓄電池の開発とも組み合わせ、脱炭素社会の実現に一歩でも近づきたい」と話している。

(問い合わせ)
九州大学水素エネルギー国際研究センター
TEL:092-802-6811
HP:https://h2.kyushu-u.ac.jp/

ライブ会場での燃料電池自動車