日本を取り囲む海は地球温暖化にともなう水温の上昇で漁獲量の減少や魚種の入れ替わりなどに見舞われ、生態系に影響が出ている。伊豆半島(静岡県)の西側の漁業 のまち、西伊豆町も例外ではなく、「食害魚」と呼ばれる魚類が増え、生育環境を乱している。こうした厄介者の食害魚のフィッシングを楽しみながら環境保全との両立をはかるというユニークな取り組み「食害魚ハンティング」が現地ではじまった。

食害魚は海藻を食べて魚の産卵場所をなくしてしまう「磯焼け」を引き起こすニザダイ、イスズミ、アイゴ、ブダイや漁業資源を食い荒らすウツボなど。なかでも近年、ニザダイとイスズミは例年見られないほど巨大化し、アイゴやブダイとともに数が爆発的に増えてるという。 食害魚ハンティングに参加できるのは、釣り場の予約などが行えるアプリ「海釣りGO」の利用者。食害魚を釣って町内の直売所「はんばた市場」に持ち込んで引き取ってもらうと、代わりに地域通貨に換金できるシステムだという。換金レートはウツボなら1尾200円、ブダイなら1kgあたり200円などで、手元に入った通貨で町内の飲食店で食事したり、土産店で買い物できたりする。もちろん、引き取られた食害魚は直売所で調理され、飲食メニューとして販売される。引き取り対象の食害魚は体長 20cm以上、それ未満の場合は漁協のいけすに放流される。

この食害魚ハンティングは11月にスタートし、これまで数人が十数匹を持ち込み、換金した。海釣りGOの運営員のひとり、三上陽平さん( 31歳)は「この取り組みをもっと周知させ、持続可能な海づくりに貢献したい」と話している。

(問い合わせ先)
海釣りGO 公式サイト
https://umigo.co.jp/

通貨交換の対象となる食害魚