FA支えて地元とともに成長

グローテック㈱は宮城県のモノづくり系スタートアップの牽引役だ。種澤直樹社長(43歳)は「地域と行政のサポートのおかげで成長できた」という思いを強く抱いており、本業のかたわら、地域貢献活動に熱心に取り組んでいる。ひとつ目は寄付活動で、地元のフードバンクを利用する小学校の新入生にランドセルを贈ったり、地元の中学校の昇降口に大型時計を寄贈したりしている。また、社内に設けた社員向けの駄菓子販売コーナーの売り上げで食品を購入し、こども食堂に提供するという取り組みや、体操のオリンピック出場選手を招いた子どもたち向けの体操教室を開催するなど各種イベントを展開している。そして、ふたつ目は中学生向けの職場体験で、生徒たちのキャリア形成に貢献している。そのほか、地元のダムのネーミングライツの取得、太陽光発電システムの導入などを推進、地域にとってなくてはならない存在になっている。

そうした社会貢献で注目されている同社の本業はファクトリー・オートメーション(FA)を支える産業用自動・検査機器の製造のほか、鉄道や発電所などインフラ系施設の電気・設備更新工事など。設計から製造・加工、納品、アフターケアまで、一気通貫でモノづくりを手掛けている。

種澤社長は元商社マンで、その経験を生かし、同社のエンジニアをさまざまな業界から集めてきた。また、業種に偏りのない幅広い取引を展開したことで、業績も右肩上がりに推移。2030年の15期目には、50億円の売上高を目指すという。

FAを支える産業用機器のデモ機
「つねに地域貢献を心掛けている」と話す種澤社長

新卒者雇用であたらしいモノづくりに挑戦

こうした目標を実現しようと、同社は人材面でもあらたな方針を掲げている。「これまでは主に経験者を採用してきたが、事業拡大を見据え、2年前から新卒者を雇用している」と種澤社長。一方で「新卒者には技術や社会人としての心構えをイチから教えなければならないので、人材育成の仕組みづくりを急いでいるところだ」とも。と同時に、地場食材を使った社員食堂やトレーニングルームを社内に設けているほか、女性が働きやすい職場環境を整えるなど、福利厚生の向上と人材確保に注力している。種澤社長は「『あたらしい力であたらしいモノづくりに挑戦・成長する』のが当社の経営理念。若い人材を有能な技術者に育て、地域とともに成長していきたい」と、求人難の時代にあっても前向きに事業を展開している。

社員食堂完備で福利厚生も
技術力には定評

大内健杜さん
公益財団法人みやぎ産業振興機構 産業経営支援部
金融支援課

当機構とグローテック㈱との出会いは、東日本大震災後に当機構が開設した「みやぎ復興パーク」にグローテック㈱が入居した創業当初(2017 年)からです。 22 年には当機構のステージアップ企業にも認定され、伴走型支援を実施してきました。同社はより一層の発展・拡大を目指し、つねに宮城・東北の地域に目を向けており、さまざまな取組みも実施しております。今後も当機構の支援メニューを活用いただきながら、さらなるGrow(成長)をサポートしていきます。