奈良県は県内観光を促進しようと、AIによって観光名所や周遊ルートをウェブを通じて無料で案内する「ならいこ」のサービスをはじめた。 AIが旅行者本人に成り代わって旅行プランを立ててくれる仕組みで、この手のサービスを自治体が行なうのは全国でもめずらしい。専用サイトには東大寺や奈良公園など県内約470カ所のスポットを掲載。利用者はスマートフォンで第1目的地のスポット1カ所を入力すると、年齢、性別、旅行目的、興味のあるジャンル(歴史、自然、食事など)、移動手段を選択する画面が順にあらわれる。旅行者が指示にしたがって画面をタッチすると、 情報をもとにAIが旅行者のパーソナリティーや嗜好を分析、それにマッチするようなオススメのルートと所要時間を表示してくれる。このシステムは㈱日立製作所(東京)と㈱リリオントリップ(大阪)が共同開発した。サービスのスタートは2024年12月で、これまで約1万件の利用があり、上々の滑り出しを見せている。

奈良県は国宝・重要文化財の数が全国で3番目に多い国内有数の観光地であるにもかかわらず、京都、大阪に比較的近いことから旅行は日帰り客が多く、滞在時間も短い「立ち寄り型」に甘んじている。こうしたことから県は旅行者に周遊・滞在型観光を促す目的でならいこを企画した。県の担当者は「旅行者に長く奈良に滞在してもらえれば宿泊施設や飲食店などの利用も増え、観光産業全体が潤う」とならいこサービスの効果に期待を寄せている。

ならいこサービスのイメージ図