生産量減少見越し、自社栽培も

柿菓子製造の國和産業㈱は、実の大きさや形が不揃いで廃棄される柿を全国の農家から買い取り、それを菓子の原料として有効活用し、フードロス対策にも貢献している。看板商品は干し柿を開いてタネを取り出し、ひと口サイズにスライスした「やま柿」。いわば柿のドライフルーツで、干し柿そのものの味が楽しめる逸品だ。友國正明社長(57歳)によれば「柿は変色しやすいうえ賞味期間が短く、一般的には扱いにくい果物とされるが、当社は独自の製造技術で干し柿を加工菓子として日持ちさせることに成功した」という。「素朴な味でおいしい」と評判のロングセラー商品で、地元だけでなくお土産品として全国に出回っている。

「やま柿」以外の商品ラインアップも豊富だ。なかでもオススメなのがシャインマスカットゼリー。特産のシャインマスカットをピューレにし、リキュールを加えてゼリー状にした逸品。「ブドウ本来の風味と食感にかぎりなく近い」と好評だ。ほかにも干し柿とバターを層に重ねたミルフィーユ、干し柿とマンゴーやモモのドライフルーツのサンドなども売れ筋だ。

このようにつぎつぎとあらたなヒット商品を打ち出す同社だが、あくまでも「柿から地方創生」という経営理念を貫いてきた。規格外品の買い取りもその一環で、フードロス対策だけでなく、農家の収入確保に一役買っている。また、農家の高齢化にともなう柿の生産量の低下を見越し、2020年に社内に農産事業部を立ち上げて約1haの畑を取得し、800本の柿の木の栽培に乗り出している。

 

看板商品のやま柿
柿の自社栽培にも乗り出す

干し柿の魅力を海外へ発信に力入れる

さらに現在では、人口減による国内市場の縮小を想定して輸出にも力を入れており、タイを皮切りに香港、台湾、米国、フランスとつぎつぎに海外進出をはたしている。「干し柿は果物王国ニッポンが世界に誇るドライフルーツ。乳製品や酒との相性も良く、海外でもウケるはず」と友國社長。「これからも積極的に魅力を発信していきたい」と意気軒高だ。

シャインマスカットゼリーもオススメ
「柿で地方創生」の理念を掲げる友國社長

石田真一さん
玉島商工会議所業務課 課長

「柿のことなら國和産業」といわれるほど、柿を使用したお菓子を製造するさまざまな技術を持っている企業です。原材料である柿の自社栽培にも取り組んでおり、原材料の安定確保はもちろん、地域に雇用を創出することにつながっていくのではないかと注目しています。また、地元倉敷市玉島の名前が入った「玉島柿ショコラ」などの商品開発も積極的に行っており、今後の展開がとても楽しみです。期待しております。