全国1700以上の市区町村の半分以上の896自治体が消滅する可能性がある、と警鐘を鳴らした日本創成会議(座長・増田寛也氏)の「増田リポート」から約10年。コロナ禍を挟んでいまだ東京一極集中がつづき、出生数も推計68.5万人(2024年)と最少を更新、急速な人口減に歯止めがかからない。国立社会保障・人口問題研究所によれば、このままでは2100年には総人口が約6300万人まで半減してしまうという。この深刻な人口減を背景に担い手不足があらゆる産業で常態化した現代にあって、地方の小規模自治体はいかに地場産業の衰退を食い止め、地域コミュニティを復興し、生活インフラを維持していけばよいのか。
ひとつの解として、デジタル技術によって課題解決をはかる「スマートシティ」が注目されている。ついこの1月にも、トヨタ自動車の豊田章男会長が実験都市「ウーブン・シティ」計画の第1期エリアの建設完了を発表し話題になったところだ。が、ただテクノロジーやサイエンスの恩恵で社会インフラの最適化や自動化、効率化をはかるだけでは、持続可能な地域社会は成り立たない。その地域ならではの文化とコミュニティを守ること、住民が地元に誇りを持ってまちづくりに参画することも重要だ。
そこで今号では、上記のウーブン・シティのほか、「市民生活の質を向上させる」ために長年かけてスマートシティ化に取り組んできたスペイン・カタルーニャ州の州都バルセロナ、充実した公共スペースと独自の文化や規範で魅力的な生活空間をつくり出したアメリカ・インディアナ州の郊外都市カーメルなどのまちづくり事例に着目してみた。日本の市町村はこうした事例に学ぶことで、人口減時代を生き抜く独自のまちづくり戦略を描くべきではないか。
(つづきはぜひ月刊『コロンブス』本誌で!)
