より細くを追求する、100年企業
ヘビのようにクネクネと曲がる金属製フレキシブルチューブは、ガスや水道などのライフラインをつなぐ部品などとして社会に欠かせない製品になっている。そんな金属製フレキシブルチューブを専門につくっているのが大阪ラセン管工業㈱だ。
フレキシブルチューブの基本的な構造はステンレス管を波型加工して蛇腹状にするというもので、上下左右に曲げることができる。また、柔軟性があるため金属疲労などが軽減され、強度も高く、頑丈なのも特徴。同社は創業時に国内ではじめてこのフレキシブルチューブの開発に成功し、以来、100年以上にわたり製造しつづけてきた。
製品ラインアップは標準型のほか、超高圧、マイクロミニ、ワームフリーの3仕様。まず、超高圧仕様は管内を高い気圧の気体が通っても耐えられる構造で、2005年の愛・地球博(愛知万博)でお披露目された世界初の水素バスのエンジン部品としてデビューした。
小泉星児社長(46歳)によると、用途は気体を通す設備関係を中心に幅広く用いられているという。つぎのマイクロミニ仕様は極細系で、もっとも細いタイプで内径1.6mmを実現。光ファイバーの保護材などとして活用されている。小泉社長によれば「うちの技術者は負けずぎらいが多く、ライバル社が細い金属チューブを製品化したと聞くと『もっと細いものを』とあらたな開発に取り組む」とのこと。
事実、後続の同業他社も細いチューブの開発に挑戦しているが、内径3mm以下になると技術的な壁にあたるそうで、極細系は同社の独壇場になっている。3つめのワームフリーはより柔軟性がある仕様で、ゴムチューブ並みに自在に曲がる。細かい動きをする工作機械や産業用ロボットなどに使用されているという。同社ではこれら3仕様のフレキシブルチューブのほか、チューブを連結させる部品のベローズの製造も手掛けている。これも圧力や熱によってチューブが膨張、収縮するのを緩和する重要な部品だ。
大阪・関西万博に超マイクロミニチューブを出展
フレキシブルチューブの将来的な需要について、小泉社長は「航空、宇宙、軍事分野にも需要が広がっており、見通しは明るい」と話す。また、水素で発電する燃料電池自動車(FCV)の開発が本格化するなか、水素ステーションでの用途も期待されている。
同社は4月にはじまった大阪・関西万博に内径1mmの極限まで細くした超マイクロミニチューブを出展する予定で、内視鏡やカテーテルなど医療分野への進出もはかっている。小泉社長は「当社はフレキシブルチューブ一本勝負のニッチ産業だが、かぎられた分野でも技術開発を追い求めれば未知の可能性が広がることを証明したい」と話している。

大阪ラセン管工業㈱
大阪府大阪市西淀川区姫里3-12-33 TEL:06-6473-6151 創業:1912年
従業員:130名 資本金:8000万円
HP:https://www.ork.co.jp/

仲田政之さん
大阪中小企業投資育成会社
常務取締役
大阪ラセン管工業はつねにチャレンジしつづける社風の下、精力的に新製品の開発に取り組んでおり、近年では超柔軟・長寿命の「ワームフリーフレックス」や超極細の「マイクロミニフレックス」など、業界初のフレキシブルチューブを実現し、あらたに航空・宇宙や医療分野へも活躍のフィールドを拡げつつあります。「伝統」と「革新」の双方を重んじ、従業員を大切にする経営方針の下、業歴 113 年を誇る業界のリーディングカンパニーとして、今後ますますの活躍を期待しています。

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