肉や魚の細胞膜を壊さない、液体冷凍
インターネットで「凍眠」と「冷凍食品」という単語を検索すると、食品メーカーの冷凍食品をはじめ、大手通販サイトや百貨店で販売されている冷凍食品がつぎからつぎと出てくる。いずれも冷凍機の「凍眠」にお世話になっている食品だ。製造しているのは横浜市に本社がある業務用冷凍機メーカーのテクニカンだ。
テクニカンの冷凍機は従来の空気冷凍ではなく、熱を奪う速度が速いアルコールを使った液体で食品を凍らせる。山田義夫社長(78歳)によると、一気に冷やすことで食品の細胞を壊すことなく冷凍することができるという。「細胞の大きさは20~30μ。空気冷凍では、細胞内にそれより大きな氷の結晶ができ、肉や魚の細胞膜を壊してしまう」と山田社長。魚や肉の解凍時にドリップが出るのはこのためで、食品のうまみ成分や栄養が損なわれる原因になるという。
山田社長が食品の液体凍結を思いついたのは、食肉問屋で働いていた40年ほど前。バブルの絶頂期で外食産業が爆発的に伸びた時代だ。いくら肉をさばいてもつぎつぎと注文が来て肉の冷凍が間に合わない。そこで思いついたのが液体凍結だったという。「サウナ室の温度は90度。熱いけど我慢できる。ところが同じ90度のお湯に指を入れたらやけどをしてしまう。液体の高い熱伝導を冷凍に生かせないかと考えた」と話す。
冷凍機の試作品を食肉問屋で使うと、すこぶる評判がいい。それなら、冷凍機製造に特化した会社を立ち上げようと、1989年にテクニカンを設立した。しかし、空気冷凍が主流の時代。売れない日が10年ほどつづいた。その間も山田社長は「凍眠」の認知度を高めるため、着々と手を打っていった。技術のたしかさを広く消費者に知ってもらうため、商標登録することにしたのだ。
専門店があらたなビジネス生む場に
ビジネスが軌道に乗りはじめたのは、液体凍結で食品の鮮度が保てることが認知されるようになった20年ほど前から。一次産業向けの大型冷凍機に加え、2019年から飲食店用の小型機の発売をはじめると、一挙に販路が広がった。また、21年に横浜市内に「凍眠」技術を使った冷凍食品の専門店「TOMIN FROZEN」をオープンすると、一般消費者以外に商品開発を目指す食品メーカーの関係者も訪れたという。
現在、テクニカンの冷凍機を使うユーザーは海外を含め、約3500社。このうち約1500社が「凍眠」ブランド名の商品を発売しているという。冷凍食品の鮮度を解凍後によみがえらせるという意味が込められた「凍眠」。山田社長は「海外での販路を広げてゆきたい」と意気込む。
(株)テクニカン
神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南3丁目1-16 TEL:045-948-4855 設立:1988年
従業員:55名 資本金:4500万円
前川達郎さん
TOMIN SAKE COMPANY 代表取締役
TOMIN SAKE COMPANY は伝統の酒造りと最先端技術を融合させ、テクニカンの凍眠技術で高品質な日本酒を全国、そして世界へと発信する酒類販売企業です。急速冷凍技術により実現した「凍結生酒」は、搾りたての香りや旨みをそのまま封じ込め、解凍後もできたての味わいを楽しむことができます。テクニカンの「凍眠」は革新的な冷凍技術です。これからますます世界に必要とされると思います。
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