モノづくりの現場を伝えるバイヤー達

四季折々の彩りを演出する日本ならではの伝統文化を生活に―—。そんな思いを屋号に込めた㈱四季彩堂は、静岡県を中心に「和の生活雑貨店」を7店舗運営している。店内で触れることができるのは、小物や工芸品、染物、陶芸品のほか、食品にいたるまで「作り手」の顔が見えるこだわりの逸品ばかりだ。

「日本製で手作りということに重きを置いている」と強調するのは同社の三井和典専務(44歳)。北海道から沖縄まで「作り手」を求めて現地に走るバイヤーは5人で、現場を知るためかならず訪問し、職人たちと会うという。「モノづくりの現場を伝えるため」だ。

実はかくいう三井専務自身も「箸」に魅入られたバイヤーのひとりだ。「箸はモノによっては    工程が必要で、完成までに2~3カ月かかると聞き、感銘を受けた。20回も漆を塗り重ねるものもあり、箸を口から抜くときの滑らかな感覚に感動したこともある」と三井専務。そんな思いから、これまでに4000膳以上の箸を握ってきたそうで、6年半前にはTBS『マツコの知らない世界』に箸マニアとして出演し、自身のこだわりを披露するなどしてきた。

陶器など全国からの逸品を揃えた店内
味わった食材や器と同じものが購入可能

「作る楽しみ」を味わう体験教室を開催

このこだわりは、箸にかぎらない。「寿」や「○○祝」などの贈答用の熨斗袋の名入れにも及ぶ。名入れは無料で手書きするが、その筆文字が「遊び心満載」ということで大人気に。

12年前からはあまりの人気に筆記教室も月に5回程度開き、盛況だとか。最近は筆文字だけではなく、洋裁や編み物、パッチワークなど「作る楽しみ」を実感できる教室を開いている。また、本店に併設しているカフェのオニギリランチなどに使っている海苔、出汁や味噌、調味料も店舗で販売しているという。もちろん、椀など食器も購入できるというからオドロキだ。まさに「作る楽しみ」を商品化している。

そのほか、遠州織物を使ったポーチ、地域の障害者授産施設に一部作業を依頼している広島産出汁パックなど希少なオリジナル商品も手掛ける四季彩堂だが、今後は「箸や和コスメに特化した店舗をショッピングモールに出品し、若い世代にも訴求したい」と三井専務。「作り手」と「使い手」を結びつけていく、この古くて新しいマーケティング手法に力強いビジネスの可能性を見る。

食彩館(左奥)が隣接する有玉本店
「店で魅力ある商品に出会ってほしい」と話す三井専務

清水英貴さん
静岡県よろず支援拠点コーディネーター

私がこちらの店舗を訪問するたびにいつも驚かされるのは、手作りPOP&チラシのおもしろさや歳時記ごとの贈答品の豊富さ、手作りお箸のラインアップや地域特集の各県ごとのミニ物産展などです。〝季節によって表情を変える売り場づくり〟が素敵です。これからも和雑貨を通じて幅広い世代のお客さまに〝癒しの時間と空間〟を届けつづけてほしいと思います。