創業183年のあらたな挑戦!

香川県小豆島は「日本のオリーブ栽培発祥の地」として知られ、今なお国産オリーブの9割以上の生産を担っている。その小豆島に日本ではじめて民間栽培のオリーブ園を開設したのが、和歌山市に本社を置く㈱シマムラである。

同社の創業は、江戸後期の天保年。初代・島村冨次郎が小間物・雑貨商を営んでいた本家から独立して油商をはじめ、独自技術による日本髪用のびん附け油の製造を開始。「紀州びん附」として、時代が明治に移っても大人気を博したという。

その後、ポマードの製造にも着手するなど事業を拡大し、1919年には殖産興業政策の一環としてすすめていた小豆島のオリーブ栽培に参入。以後、一世紀以上にわたってオリーブ由来の化粧品の開発と食用オリーブ油の製造に取り組んできた。現在は、国産オリーブの供給量が需要に追いつかないため、主にスペイン産のオリーブを原料としている。

8代目の島村健社長によれば「化粧品においては独自のセラミック循環装置の導入により、水の精製にもこだわっている。看板商品のハンドクリームは、半世紀以上にわたって愛されてきた。一方で伝統のびん附油の製造もつづけており、歌舞伎界などで重宝されている」とのこと。

職人が完全手作業で仕上げるびん附油
スキンケアシリーズ『鈴虫オリーブ』

直販、小売りも強化し創業200年へ

同社の製品は、主に小豆島島内でお土産として販売されてきたが、コロナ禍で状況が一変。観光客が途絶えたことで売上が激減した。「その苦境を機に、自社の強みやお客さまへの提供価値を見つめ直し、リブランディングをはかることにした。昨年には主力ブランドのスキンケアシリーズ『鈴虫オリーブ』のパッケージデザインの刷新や少量のチューブタイプのハンドクリームを開発。これが『パッケージがかわいい』『携帯しやすくて便利』などと好評で、徐々に問い合わせが増えている」と島村社長。

今後も既存商品のリブランディングを順次すすめ、SNSを活用したデジタルマーケティングにも力を入れていく。180年以上つづく伝統を守りながら、現代の若者にも受け入れられるような商品を開発し、販路を拡大することが狙いだ。

「正直、これまでは小豆島島内の需要に頼り切ってしまっていた。これからはメーカーとして卸に商品を供給するB to Bだけでなく、お客様への直販や小売にも力を入れていきたい。原材料の高騰など苦しい面もあるが、自社の存在意義を全社員で共有し、あらたなチャレンジをつづけていく。創業200年に向けてガムシャラにがんばりたい」と島村社長は意欲を燃やす。

日本のオリーブのパイオニアとして挑戦をつづける島村社長
本社社屋。玄関前にはシンボルツリーのオリーブ

山田貴文さん
(公財)わかやま産業振興財団総務部

オリーブを中心とした化粧品・食用オイルの製造・販売を手掛ける企業です。 180 年を超える老舗企業ならではの安心・安全なモノづくりはもちろん、新しいことにチャレンジする柔軟性や地域とともに歩む企業姿勢が魅力的です。社員の皆さんが一丸となって「徹底した顧客視点」を意識し、自社の強みや価値を追究しています。歴史を未来へつなぎ、時代の変化に応じて挑戦をつづけていく姿から目がはなせません。