岸田首相「和牛生産の成長と継承期待」
全共最終日

52年ぶりに鹿児島県での開催となった「第12回全国和牛能力共進会(全共)」は10月10日の最終日、特別区を除く8出品区の首席(優等賞)の中から種牛の部、肉牛の部でそれぞれ最高賞となる「内閣総理大臣賞」を選出した。和牛日本一は種牛の部が鹿児島県、肉牛の部は宮崎県となり、閉会式に出席した岸田文雄首相が賞状などを手渡したたえた。

5日間の日程で6日から始まった鹿児島大会の最終日は午前中、最高賞を選出。種牛の部で最も優れた牛に贈られる内閣総理大臣賞は、4区(繁殖雌牛群)に出品された鹿児島県・姶良和牛育種組合の「やすこ」「てるはな」「さき」に決定。肉牛の部の内閣総理大臣賞は、7区(脂肪の質評価群)に出品された宮崎県・神田譲市さんの「尚栄」「弥土52の3」「第33凛太郎」に決まった。

表彰が行われた閉会式では、主催者を代表して公益財団法人全国和牛登録協会の向井文雄会長が式辞。向井会長は自然環境や地政学などから「和牛産業を取り巻く課題は大きく変化している。安定生産には、いっそう効率的な生産を支える総合能力が求められる時代を迎えている」と述べた。名誉会長の塩田康一知事は「過去最多の41道府県から選抜された約440頭の出品牛によって熱い闘いが繰り広げられた」と振り返り、今回の受賞を契機に「和牛の魅力が向上し、和牛がわが国の食と農を支える基幹産業として成長していくようさらに今後も尽力してほしい」とあいさつした。

来賓祝辞では、内閣総理大臣賞の授与で初の閉会式首相出席となった岸田首相があいさつ。この中では和牛改良について「先人たちが長い歳月をかけ取り組んだ努力により、今や和牛は日本の宝となり『世界一おいしい』と評価されるまで成長、わが国の農林水産物輸出の主翼を担うものとなっている」とたたえるとともに、今回の鹿児島大会を契機にさらに和牛改良や飼養管理・改善が進むことで「和牛生産は将来にわたって成長し、次世代に引き継がれることを大いに期待している」と述べた。

表彰では、6区の総合評価群で首席に輝いた徳之島産牛を含む県代表にも会長賞が授与された。

(奄美新聞 2022年10月10日)