(上)訪問看護ステーションには24 時間「ナースコール」ができる
訪問介護事業を手掛ける㈱ライフケア・ビジョンはこのあたりに着目、2020年から「シニアアップデートマンション」の運営を手掛けてきた。特徴は、独自の見守りシステムつきの賃貸マンショであること(家賃は1DKで11万2000円~)。たとえば、入浴中の脈拍や呼吸数を計測する浴槽センサー、同じく呼吸数などを測り眠りの状態を調べる睡眠センサーなどが完備されている。そして、これらのデータを近隣の訪問看護ステーションにいる看護師が24時間体制でチェックし、緊急時に備えているという。とくに浴槽センサーはメーカーと共同で改良を加えたとあって独自の機能が満載、 万が一浴槽内で溺れてしまっても、お湯を浴槽の側面からわずか1分で強制排水することができるそうだ。
料理人、不動産業といった職を経て、介護事業を立ち上げた祝嶺(しゅくみね)良太社長(41歳)は、こうしたITシステムの必要性を創業間もない頃から強く感じていた。「深夜の見回りの際に、部屋のドアをソッと開けても利用者が目を覚ましてしまうことがよくあった。そのときからITシステムで見守りができれば、利用者にとってもスタッフにとっても負担が減るのではないかと考えていた」と祝嶺社長。実際、睡眠センサーを自社が運営する有料老人ホームで導入してみると、利用者の睡眠時間が長くなっただけではなく、スタッフがほかの業務に集中でき、月の平均残業時間を1時間以内に抑えることに成功したという。
こうした独自の介護ノウハウが詰まったシニアアップデートマンションには、居住する高齢者にとっても、その家族にとっても安心・安全な要素が盛りだくさんだ。コロナ禍でのオープンとあって十分なPRができなかったというが、最近は問い合わせが増えており、続々と入居がきまっているという。「現在の部屋数は42室だが、将来的には400室を目指したい」と力を込める祝嶺社長。あらたな介護業界の旗手となりそうな予感がする。
㈱ライフケア・ビジョン
(左)シニアアップデートマンションは2020 年、大阪府吹田市にオープンした
大阪府大阪市東淀川区東中島1-18-22
新大阪丸ビル別館9階
☎06-6160-7088
設立 2011年
従業員 750名
資本金 900万円
http://lifecare-holdings.com