(上写真)天然の沖縄産ハーブを原料にしたエッセンシャルオイルなどの商品群

ハーブ(薬品や防虫剤、香料など幅広い分野で使われる有用植物)から抽出され、主にアロマテラピーに使われるエッセンシャルオイル(精油)の製造販売で注目されている「ハーブ香房花ふう」(㈲豊/沖縄県南城市)。同社は国内では栽培が難しいとされているハーブを自社農場で無農薬栽培し、オリジナルのエッセンシャルオイルなどとして販売。昨年12月末にはネットショップを開設し、さらに販路を拡大している。

その商品ラインアップは、国産のティーツリーやレモングラス、ローズマリーなどから抽出した天然100㌫のエッセンシャルオイル(3~5㍉㍑)やフラワーウォーター(蒸留水)、香りの石鹸など。原料となるハーブは13種で、いずれも沖縄の美しい海を望む約500坪の農園で育まれている。
ちなみに、同社はもともと整体やアロマトリートメント事業を手掛けていたそうだが、創業者の金城政枝氏(70歳)はその際に「国内産のエッセンシャルオイルが少ないことを知り、自分でつくりたいと思うようになった」という。そして「安心・安全なものを提供したい」という一心でハーブの栽培とエッセンシャルオイルの製品化にチャレンジ。試行錯誤の末にハーブを蒸留窯に入れて下から水蒸気を通した後、水蒸気を冷却管で冷やしてエッセンシャルオイルを得る「水蒸気蒸留法」に行き着いたという。その後、しばらくは自社の施術時にのみ使用していたそうだが、2008年からは精油製造販売に事業を転換し、幅広い層の人たちに自社製品を提供することに。
もちろん、品質重視の姿勢は今も昔も一貫している。「エッセンシャルオイルは日用雑貨にあたるため、成分配合などの明記が不要とされているが、当社は100㌫天然素材を使用することにこだわりつづけている」と政枝氏。
そのため、大量生産はできないが、コロナ禍前にはセラピストなどが集まる展示会などで話題を集め、サロンはもちろん、主婦層やOL、アロマ愛好家らに浸透していったという。その品質は自治体などからも高く評価されており、2010年度の沖縄県優良県産品、22年度の沖縄南城セレクション認定商品などにも選ばれ、自治体が主催するイベントに出展する機会も増えてきたという。

昨年夏に代表を引き継ぎ、ネットショップ開設などセカンドステージに乗り出した金城渡代表
海を望む広さ約500坪の自社農園。原料のハーブはすべてここで育てられている
年に数回、団体や幼稚園児などによる香りづくり体験会を開催
                          

昨年8月、政枝氏は介護施設を早期退職した長男の渡氏(49歳)に事業を承継した。渡氏はその期待に応え、ネット販売などで着実にファンを増やしているが、「まだまだ当社の知名度は低いし、なかには使い方がわからないという方もいるので、今はSNSを使った情報発信にも力を入れている」という。沖縄の自然の魅力が詰まったエッセンシャルオイル、ぜひ一度、その癒し効果を試してみてほしい。