金融庁の補助事業として2021年10月に本格稼働した「REVICareer(レビキャリ)」は、地域金融機関が仲介役となって、高いスキルを持つ大企業の人材と地域の中堅・中小企業とをマッチングさせる仕組みだ。レビキャリに登録できるのは資本金10億円以上または従業員2000人超の法人に属する社員で、業種、年齢、役職の制限はない。セカンドキャリアを模索する人や兼業・副業、出向を希望する人の登録も受けつけており、現在、登録者数は1700人(2023年6月時点)と2022年度比で2.8倍に増加。また、仲介役としては地銀や信金は116機関が登録している。

ここ数年、全国各地でマッチング事例が徐々に増えている。たとえば昨年、静岡銀行はレビキャリを通じて県内の農業系ベンチャー企業と大手メガバンク出身の60代男性とのマッチングを仲介した。受け入れ企業側の40代社長が会社の企画や管理のすべてを担っている状況だったが、あらたに入社した人材が総務や経理、財務の体制構築のミッションを担うことで、事業拡大に向けて順調に歩をすすめているという。静岡銀行コーポレートサポート部・櫻井三佐紀氏は「お客さまの経営課題を解決するために、地域金融機関としては金融面だけでなく、人材採用や人材育成、その他幅広いソリューションで支援していくべきだ」と話す。こうした考えから、同行では、20年7月には有料職業紹介事業の許認可を取得、現在では、レビキャリの活用や大企業との連携を通じた人材マッチングに注力している。昨年、成立した54件のうち10件は直接的なマッチングを行ったもので、年々、人材紹介業で力をつけている。

23年4月の中小企業の「後継者難倒産」は43件(東京商工リサーチ調べ)と過去最多を更新しており、中小企業の人材支援は喫緊の課題となっている。ぜひとも全国の地域金融機関には、レビキャリのような仕組みを積極的に活用するとともに、独自の人材事業で地域活性化の好循環を生み出してほしいものだ。

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