保育施設や病院などの給食現場から圧倒的支持「Mr.献ダテマン」

病院や施設、保育園などの給食の献立づくりに欠かせない管理システムをいち早く開発したのが㈱カイテクノロジーだ。初代システムのデビューは現社名を名乗る約40年前にさかのぼる。それまでは管理栄養士が手作業で記録していた栄養価・カロリー計算をすべてコンピューターで行えるようにし、現場の労働時間の短縮と省力化につなげたのだ。その後は後発企業が続々と参入し競争が激しさを増したが、同社は先発組の一日の長を生かし、現在も業界トップ級の座を守っている。システム名は「Mr.献ダテマン」とユニークで、これまで全国約1万5000件の保育施設や病院などに納品してきた。事業部長の勝屋亨介氏(30歳)は、給食現場から長年支持を受けている理由として「管理栄養士の資格を持つ従業員が開発にかかわり、現場目線で使い勝手の良さを追求していること」と「コールセンターを常設して現場からの問い合わせに的確に答えるアフターフォロー体制が充実していること」などをあげる。このシステムのおかげで栄養価・カロリー計算のほか、食材の原価計算や調達、在庫管理などが「簡便になった」「使い勝手がいい」と管理栄養士たちからは大好評だそうだ。当然、管理栄養士には時間の余裕が生まれ、給食サービスを受ける側の患者や施設利用者の生の声に耳を傾けてニーズを汲み取る栄養管理の業務に労力を割くことができ、患者や利用者の満足度も向上しているという。

 

「Mr. 献ダテマン」インストール版のソフト
「Mr. 献ダテマンのウェブ版は働き方改革にも適合する」と語る勝屋亨介事業部長

給食現場のさらなるDX化を視野、現場目線でリードを続ける

同社は2018年、このMr.献ダテマンの従来のインストール版に加えて、あらたにウェブ版を追加した。インストール版は栄養士が給食現場に出向いてコンピューターの前に座らないと作動できない弱点があったが、ウェブ版は場所やPCを選ばず利用できる利点がある。発売間もなくコロナ禍が本格化し、テレワークが広がるなかで大ヒット、累計約3000件の納入実績を上げた。勝屋氏は「将来的にはインストール版に代わり、ウェブ版が主力になっていくだろう」とみている。同社はこうした本業のかたわら、東京本社を置く新宿区の小学校を対象にキャリア教育の副読本で自社を紹介したり、栄養士専門学校に自社システムをスクールパックで提供して人材育成をサポートしたりと社会貢献にも取り組んでいる。勝屋氏は「給食現場は食材の注文書を今もファックスで送るなどまだアナログな部分も残るため、給食管理システムの進化によるDXの余地は多い」と市場としての将来性を見込む。「給食管理システムをベースとして、食品販売会社向けの派生システムを構築するなど、システムを総合的に発展させていきたい」と目を輝かせる。

Mr. 献ダテマンのキャラクターぬいぐるみ
Mr. 献ダテマンのモニター表示

吉井順昭さん
クックメイト㈱社長 管理栄養士

カイテクノロジーさんは多くの管理栄養士を従業員として抱えており、現場の目線を酌み取った給食管理システムを構築し、ユーザーにとって使い勝手の良いシステムをつくり上げました。その意味では業界ナンバー1だといっていいでしょう。不断にシステムのブラッシュアップも重ね、信頼性の向上にも努めています。今後はシステムを的確に運用し、よりよい給食を提供できるよう現場を導いていってほしいと思います。